電子-陽電子リニアコライダーのオプションとして計画されている光子-光子コライダーでの、重いヒッグス粒子生成に関する研究を行った。光子-光子コライダーでは「電荷と質量を持つ粒子」の輻射補正を介してヒッグス粒子が生成される。従って、光子-光子コライダーにおけるヒッグス生成断面積は、どのような「電荷と質量を持つ粒子」が存在するかに依存する。「電荷と質量を持つ粒子」の効果は、それが極めて重い粒子であっても有限であるので、現在探索可能なエネルギーよりもはるかに重い粒子の存在がこのヒッグス生成断面積に現れる可能性がある。我々は、生成されたヒッグス粒子がトップクォーク対に崩壊する過程を用いて、その過程の断面積が光子-光子-ヒッグス結合の複素位相に感度があることを指摘した。この複素位相は光子-光子コライダーでのこのような過程でのみ測定することができる量で、新粒子の発見や素粒子模型の選別に役立つ。 また、超対称性模型で予言されているような質量の縮退したCPパリティの異なる2つのヒッグス粒子を分離して観測することができる観測量を提案した。上記のヒッグスがトップクォーク対に崩壊する過程において、更にトップクォークが崩壊していった先の崩壊生成物のある角度分布で断面積を分解すると、CP偶ヒッグス粒子のみに感度がある量とCP奇ヒッグス粒子のみに感度がある量に分けることができ、それぞれのヒッグス粒子を分離して観測できることになる。
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