宇宙の構成物質の大部分は光っていない物質であり、その候補の一つとしてWIMPs(Weakly Interacting Massive Particles)が有力視されている。本研究は大型のCaF_2シンチレーターを使用し、暗黒物質(WIMPs)と検出器中の原子核(^<19>F)との散乱による反跳核エネルギーの検出をとうして探索を行なう。また、同時に^<48>Caの二重ベータ崩壊の観測によりニュートリノ質量の測定を目指している。 WIMPsによる原子核反跳は低エネルギー領域での検出が不可欠である。本研究においては電子エネルギー換算で5keVのエネルギー領域の検出を目指しており、そのために必要な光電子数の検出を可能にするために、光電子増倍管では検出の難しい、CaF_2検出器の紫外領域の発光波長を波長変換剤により可視光領域に変換する必要がある。今年度の行なった予備実験によって、最適な波長変換剤の濃度を決めることに成功し、また、CaF_2検出器を沈めている液体シンチレーターの性能(発光量、透過度)の評価から、1keVあたり1個の光電子の検出が可能であることを確かめることができた。 同時に、バックグラウンドの低減化を実現するためにCaF_2検出器の結晶化に使用するパウダー中に含まれる放射性不純物の分析をGe半導体検出器を使用して行ない、数種類の候補の中から最高純度の原料を選定した。選定した原料を、さらに高純度化するために原料の純化に取り組み、これまでのところ一定の成果を得ている.
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