本年度は以下の研究を実施することによって、分裂酵母におけるSty1を中心としたストレス応答の全体像の解明を行った。 1)各種ストレス下でのSty1リン酸化状態変動のモニタリングを行い、野生型とHisセンサーキナーゼ(Phks)欠損株においての違いを解析した。この解析により、His-Aspリン酸リレー情報伝達系の各種ストレスへの役割を明らかにすることを目的とし、実験を行った。その結果、この経路は酸化ストレス応答に関与していることを明らかにした。 2)大腸菌を用いた解析を行った。分裂酵母Hisセンサーキナーゼ(Phks)による大腸菌Hisセンサーキナーゼ(RcsC)の相補能を調べたが、相補能を確認することは出来なかった。 3)1)の解析によりHisセンサーキナーゼが酸化ストレスを感知に重要であることを明らかにした。そこで、酸化ストレス下での細胞周期制御因子のmRNA及び、タンパク質量の変化を調べることを予定していたが、申請者が研究課程の修了により、この解析は休止する。 4)DNAチップを用いて、野生型とHis-Aspリン酸リレー情報伝達系因子欠失株で発現が変化している遺伝子を調べる。この解析では、現在それぞれの欠失株でのアレイの結果を得ている。しかし申請者の研究課程の修了により、当研究室の継続者に解析を引き渡すことにした。
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