研究概要 |
27億年前の火成活動は地球史の中で非常に活発であった。同時代の緑色岩帯に大量の火山岩が産することや大陸地殻のジルコン年代が27億年に集中することからも示唆されている。27億年前の火成活動の規模を正確に見積もるためには同時代の緑色岩帯の形成過程に束縛条件を与えることが必要不可欠である。 ジンバブエに産する27億年前の大規模な火山岩体(層厚約6km)の形成過程を議論するため、広範囲から変成変質度が最も低い26試料を選び出し、それらの地球化学的データを得た。分析したほとんどの火山岩の化学組成はコマチアイトの結晶分化と大陸地殻の混染の過程によって説明できる。さらに大陸地殻起源のザクロ石捕獲結晶をコマチアイト中から世界で初めて発見し、その火山岩体のテクトニックセッティングが大陸洪水玄武岩的であるということを支持した(Shimizu et al., Geology,2004)。また、このほかに同地域で80試料の残存火成輝石の微量元素を分析し、太古代緑色岩帯の形成過程を次のように提唱した。深部のプルーム内でコマチアイトが生成し、大陸下部まで上昇する。マグマは大陸地殻と混染しながら噴出する。深部からのマグマの供給が多くなりコマチアイトが噴出する。マグマの供給が少なくなり、密度の大きいコマチアイトが噴出できなくなる。マグマ溜まりで大量の玄武岩が形成し、噴出する。現在これらの研究成果を論文にまとめ、現在印刷中である。 昨年度採取したボニナイトとコマチアイトの残存火成鉱物中のメルト包有物に含まれるホウ素、リチウムをはじめとする微量元素の含有量及びリチウム同位体を較べた結果、これらの二つのマグマは全く異なったものであることが示唆された。
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