研究概要 |
糸状菌Fusarium oxysporumの複合呼吸系とも呼ぶべきエネルギー獲得形態を検討し、進んでいた。 (1)アンモニア発酵の分子機構解明:F.oxysporumが硝酸塩を異化的にアンモニアヘ還元することが発見された。類似の硝酸塩異化代謝は大腸菌などで知られているが、発酵的な(呼吸鎖電子伝達系に結びつかない)アンモニアへの還元は新発見であった。発酵酵素中のkey enzyme,アルデヒド脱水酵素(アシル化)、酢酸キナーゼを見つけた。この二つ酵素がカビにとって初めてのことである。今精製し、性質を解明したいが、なかなか精製ができない。厚因としてはこのような酵素がいくつタンパク質で結合しており、分離ができないと思う。 (2)アンモニア発酵における炭素源代謝の解明:アンモニア発酵での硝酸からアンモニアヘの窒素変換率は、エタノールを炭素源にした際最も高くなることが判明した。エタノールからの発酵産物が酢酸であるのが明らかにした。アンモニア発酵における炭素源代謝経路を判明し、ATP生成部位を特定した。 (3)複合呼吸系の酸素レベルへの応答機構解明:アンモニア発酵は最も嫌気的な条件で誘導され、酸素呼吸はもろろん高い通気条件で発現する。脱窒はそれらの中間である。これら3種の呼吸系がそれぞれどのように酸素濃度に応答しているかを、遺伝子レベルで解明している。脱窒、アンモニア発酵の外、F.oxysporumアルコール発酵もうできるのが示された。脱窒、アンモニア発酵とアルコール発酵は低酸素条件下でF.oxysporumのエネルギー代謝ルールであり、この3つエネルギー代謝間の関係を検討した。また、F.oxysporumアルコール発酵がヘテロ乳酸発酵と判明した。ヘテロ乳酸発酵経路中に一種類のkey enzyme(glucose-6-P dehydrogenase)が存在することが明らかにした。
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