1.生体システムや社会システムなど多様なシステムの背後にある複雑なネットワーク構造(スモールワールド的特長を持ち、かつ局所的に高い構造化がなされているネットワーク)の生成原理と、その形成過程における動的な特性を明らかにする試みの一環として、環境に対する最適化プロセスによって形成されるネットワークモデルを提案し、そのトポロジーと時間発展の詳細を調査した。 この研究により、現実に観測される特徴的なネットワークトポロジーの形成は、遺伝的アルゴリズムに代表される環境への最適化によってなされ得るという仮説を支持する結果を得たが、それを個別のシステムと関連させて議論するためには、より具体性の高い検討を要することを示した。 この研究は日本物理学会にて報告を行った。 2.初年度に提案したネットワークトポロジーを特徴付ける新しい量である負荷依存特性を用いて、首都圏鉄道網の網羅的なデータマイニングを行った。 この研究により、現実の輸送ネットワークが持つ特性を新しい側面から明らかにするとともに、負荷の依存特性を調べることがネットワークの隠された構造を発見する手段として有効であることを示した。 この研究は情報処理学会の研究会にて報告を行った。 3."複雑系の背後にあるネットワーク"という新しいテーマについて、最先端の研究事例を紹介するという趣旨において、東京大学情報学環の大学院生を対象に2度講義を行った。
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