• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2004 年度 実績報告書

芸術生産の国際社会学・現代美術の芸術的価値形成における国家の位相

研究課題

研究課題/領域番号 02J07008
研究機関東京大学

研究代表者

岸 清香  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)

キーワード国際文化交流 / 芸術文化政策 / 現代美術 / アジア
研究概要

1980年代後半以降の現代美術の芸術生産において、活動領域の世界的拡大と価値規範の多様化が観察されるが、本研究はこの現象について、(1)「アジア現代美術」の芸術生産の様態、(2)フランスにおける公共政策、(3)日本における公共政策、の三つの研究軸から考察することを目指している。本年度はそのとりまとめとして、共著の刊行、学会報告、論説・翻訳文の発表を行った。
まず上記(1)について、本研究で行ってきた福岡アジア美術館でのフィールドワークに基づき「美術館がアジアと出会うとき」(戦後日本国際文化交流研究会の論集『戦後日本の国際文化交流』所収)を上梓し、「アジア現代美術」を社会学的に考察するための視座を得た。特にこの「アジア現代美術」という美的カテゴリーが欧米で展開する多文化主義の議論を踏まえた言説空間のもとに出現した点に着目し、その論理的構成を整理した内容を日本社会学会年次大会で発表した。
また(2)に関して、フランスで行ってきた調査研究を踏まえ、「1990年代の現代美術論争」を上梓したが、さらにこれを戦後フランスにおける美術と国家という枠組に位置づける論考を日本国際文化学会全国大会で報告した。社会文化史の重鎮P・オリー氏の来日講演に際しては、通訳と講演原稿の訳出に関わり、日本では十分に知られていないフランスの文化政策研究の紹介にも携わった。また「『文化』は戦略化する」では、フランスとヨーロッパにおける近年の対外文化政策の動向を論説した。(3)については、前述の戦後日本国際文化交流研究会論集に、「『日本的グローバリズム』のアジア的契機」のほか、史的概説と関連年表を共同研究の成果をまとめた。
以上を通して、芸術生産が社会経済生活に関わる価値や規範の問題として国家と国家間政治の次元において争点化し、国際社会における集合的同一性の問題として出現している様相を具体的に解明することができた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 1990年代の現代美術論争・『極右』による攻撃?2004

    • 著者名/発表者名
      岸清香
    • 雑誌名

      Resonancesレゾナンス 2

      ページ: 38-39

  • [雑誌論文] 『文化』は戦略化する-英・独・仏にみる対外文化政策の展開-2004

    • 著者名/発表者名
      川村陶子, 岸清香(共同執筆)
    • 雑誌名

      遠近 1

      ページ: 22-27

  • [雑誌論文] 『文化政策』-フランス・モデルは存在するのか?2004

    • 著者名/発表者名
      パスカル・オリー(岸清香・剣持久木訳)
    • 雑誌名

      国際関係・比較文化研究 3(1)

      ページ: 137-152

  • [雑誌論文] 戦後フランスにおける美術と国家-1990年代の現代美術論争を手がかりに2004

    • 著者名/発表者名
      岸清香
    • 雑誌名

      日本国際文化学会2004年度全国大会自由論題セッション(学会報告)

  • [雑誌論文] 美術館が『アジア』と出会うとき・現代美術の国際的展開と福岡アジア美術館2004

    • 著者名/発表者名
      岸清香
    • 雑誌名

      日本社会学会2004年度年次大会一般研究報告「文化・社会意識3」(学会報告)

  • [図書] 戦後日本の国際文化交流2005

    • 著者名/発表者名
      戦後日本国際文化交流研究会(共著)
    • 総ページ数
      408
    • 出版者
      頸草書房

URL: 

公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi