研究概要 |
イテリメン語北部方言(チュクチ・カムチャツカ諸語)の話者が居住する、ロシア連邦カムチャツカ州コリャーク自治管区チギリ地区においてフィールド調査を行い、以下の成果が得られた。 1.基礎語彙 イテリメン語南部方言にはある程度の語彙資料が存在するが、北部方言の語彙資料としてはこれまでまとまったものは存在していなかった。語彙は『アジア・アフリカ言語調査票 下』(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所,1979)の項目に基づいてNo.0001〜2000の語彙項目について網羅的に採集し、その一部を「イテリメン語北部方言基礎語彙調査報告(追補)」として発表した。さらに収集した基礎語彙をもとに、イテリメン語北部方言の音素体系の研究を行った。また、録音した語彙の音声資料を使用し、コンピュータによる音声付き語彙データベースを作成した。 2.テキスト イテリメン語北部方言話者による会話テキスト6編、民話テキスト6編、その他12編を採録した。テキストはコンピュータで入力してデジタルテキストコーパスを作成し、一部を「イテリメン語・日本語対訳テキスト1」として発表した。 3.音声資料 デジタルオーディオテープ(DAT)レコーダーを使用してイテリメン語音声(語彙・会話・独話・民話)を高音質で録音し、DATテープ9本分(約18時間)の録音資料を得た。 4.映像資料 デジタルビデオカメラを使用し、イテリメン語話者2名による北部方言会話の映像(約40分)の録画を行った。
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