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2002 年度 実績報告書

日本人にとって西洋芸術音楽はどこまで異文化なのか

研究課題

研究課題/領域番号 02J07189
研究機関東京大学

研究代表者

吉田 寛  東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)

キーワード国民国家 / ナショナリズム / 民謡 / 音楽美学
研究概要

特別研究員に採用されて一年目である今年度は、研究課題の大きな方向性を定めるべく基礎的調査を行い、また研究全体の骨子となる議論を組み立てることに努めた。そのうちもっとも代表的な成果には、第71回日本音楽学会・東洋音楽学会合同例会(12月7日)のシンポジウム「「国楽」と国楽-概念とその歴史的実相」で発表した論文「「国楽」の理念からみる日本の近代-「雅俗ノ差」の超克と「国民」の創造」がある。そこで示されたのは、明治期の日本で盛んに議論された「国楽national music」の理念が、旧来の封建制度を超克するという明確な政治的目的を伴っていながらも、その現実的基盤に欠いていたことであった。これは当時の日本ではそもそも「国民nation」の根拠が曖昧でしかなかったことを物語る、というのがそこで得られた知見である。
また「国楽」の理念の源流となった「民謡Volkslied」の概念についても研究を進めた。その成果は日本音楽学会国際大会(11月3日)において英語で発表した論文「J.G.Herder's Conception of Volkslied and an Invention of the Universal Taste」に示された。そこでは一八世紀ドイツの社会と政治のなかで「民謡」の美学がどのように登場してきたかを論じ、明治期日本の思想的状況との類似性を確認することができた。また会場でのディスカッションを通じて、この問題の重要性を多くの国の研究者と共有することができた。なおこの論文はすでにフランス語に翻訳されており、カナダの学術雑誌『Horizons philosophiques』の次号に掲載される予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 吉田 寛: "音楽家ダニエル・リベスキンド?-新たな読解可能性のために"インターコミュニケーション. 第12巻第1号. 120-128 (2002)

  • [文献書誌] 吉田 寛: "《Galli cantant》-古いラテン語の諺の伝承にみるヨーロッパ諸民族の音楽的表象"国立音楽大学編『研究紀要』. 第37号(頁未定). (2002)

  • [文献書誌] 吉田 寛: "アタナシウス・キルヒャーと音楽の国民様式論"国立音楽大学大学院編『音楽研究』. 第15号(頁未定). (2003)

  • [文献書誌] 吉田 寛: "ロマン主義の音楽思想にみる「ドイツ的なもの」の表象-普遍性という名のポリティーク"シェリング年報. 第11号(頁未定). (2003)

  • [文献書誌] YOSHIDA Hiroshi: "La Conception herderienne des chants populaires et une invention du gout universel"Horizons philosophiques. vol.13, no.2(頁未定). (2003)

  • [文献書誌] 吉田 寛(共訳): "アドルノ音楽・メディア論集"平凡社. 356 (2002)

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公開日: 2004-03-26   更新日: 2016-04-21  

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