研究概要 |
視点位置と焦点の異なる画像群を処理することによって,任意の視点位置からの画像を再構成するイメージベースドレンダリング手法を実現した.本手法では,対象シーンの3次元情報を推定する従来までの手法とは異なり,画像に生じる焦点ボケを視差に変換することによって任意視点画像の再構成を行う.本年度は,前年度までの手法の欠点を解決した. 欠点は次の二つである.1)焦点ボケを視差に変換する問題は,画像復元問題と同様の線形方程式を解く問題に帰着される.本手法の場合,低周波成分における再構成において不良設定となり,ノイズ,輝度ずれやボケ関数の誤差などの影響を強く受ける.2)変換できる視差は,1つの奥行きに対して一定方向だけに限定される.そのため,所望の画像の視点位置がカメラを結ぶ線分上に限定される.また,その視点方向を変えることはできない. それぞれの改善手法は,次の通りである.1)変換する視差量を低周波ほど小さく設定した.これにより,安定した画像再構成が実現できた.2)カメラ線分上の視点画像を密に生成した後,Light Field Rendering(LFR)手法を適用した.これにより,任意視点および視線画像の生成が可能となった. 実写での実験により,上記の改善策の効果を示した.4眼1列のカメラを用い,各カメラにおいて2枚の焦点の異なる画像を取得し,処理を行った.各カメラ間に10枚の新たな視点画像を再構成し,LFR法により,任意視点画像を生成した.低域成分の誤差は大きく低減され,前後あるいは視線の移動による見えの違いがリアルに再現されることが示された.
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