研究概要 |
一般化されたガンマ函数の研究とその応用と、超幾何型の差分系の解の構成とその対称性の研究を行った。平成14年度の研究実績としては、以下の事項が挙げられる。 (1)多重ガンマ函数、さらに、そのq-類似と楕円類似の性質についての研究の総合的な報告を雑誌Rocky Mountain Journal of Mathematicsに発表した。 (2)MehtaとWangによって得られた、ガンマ函数を成分にもつ行列式の恒等式のq-類似を構成した。これは、雑誌Linear Algebra and Its Applicationに発表された。この結果と、Maxiner-Polaczeck多項式と呼ばれる直交多項式のq-類似との関連が期待されており、現在、その考察をおこなっている。 (3)底つき超幾何級数を変形して得られるBurbanとKlymikの(r, s)-超幾何級数と呼ばれる級数の隣接関係式を用いて、竹内光弘氏によって導入された二変数の量子展開環の表現を構成した。この結果は、インドのチェンナイの数理科学研究所で行われた国際会議'International Conference on Special Functions and Their Applications'や、アメリカ合衆国のボルチモアで行われたアメリカ数学会のスペシャルセッション'Special Functions and q-Series'で発表された。現在、この結果について論文を準備中である。また、更なる拡張として、多変数の量子展開環の表現を超幾何型の級数を用いて構成することや、Gelfand-Graev-Retakhの(R, S)-超幾何系と呼ばれるより一般的な超幾何系の対称性を記述することが期待される。
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