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2002 年度 実績報告書

西太平洋域における対流圏窒素酸化物・オゾンの輸送と光化学収支の解明

研究課題

研究課題/領域番号 02J07875
研究機関東京大学

研究代表者

宮崎 雄三  東京大学, 先端科学技術研究センター, (DC2)特別研究員

キーワード大気化学 / 窒素酸化物 / 対流圏オゾン / 総観規模気象 / 西太平洋・東アジア / 長距離輸送
研究概要

本研究では、2001年春のNASA航空機観測キャンペーンTRACE-Pで研究員自身が測定を行った窒素酸化物の組成データや他の研究グループから提供される大気成分データ、及び気象・人工衛星データを用いて解析を行い、春季の西太平洋域における窒素酸化物等の物質組成分布と光化学変換過程、観測時の気象条件との対応を詳細に調べた。その結果、温帯低気圧に伴う温暖コンベアーベルトが東アジアの陸域境界層から自由対流圏への気塊の上方輸送過程として重要である、ということが明らかになった。航空機観測点において同定された温暖コンベアーベルトにおいて硝酸ペルオキシアセチル(PAN)が窒素酸化物の支配的な成分であることが明らかになった。これはバイオマス燃焼、都市大気といった排出源の近傍で生成されたPANが自由対流圏へ輸送されてきたと考えられ、窒素酸化物の貯留成分としてのPAN輸送の重要性を示す結果である。一方、他の総窒素酸化物のうち硝酸の占める割合は相対的に低く、その大部分は温暖コンベアーベルトに伴う降水により除去されていることがわかった。観測値とアジア大陸における排出量比の推計値との比較より、温暖コンベアーベルトによって排出源領域から自由対流圏まで輸送された総窒素酸化物の割合(輸送効率)を定量化したところ、10-20%と見積もられた。これらの結果は大陸間規模の物質輸送に伴う、全球規模の対流圏オゾンの光化学収支を考える上で極めて重要であり、成果は国際学術雑誌Journal of Geophysical Researchに投稿、査読後校正済みである。また、航空機搭載型の二酸化窒素(NO2)測定器の高精度化のための室内予備実験(測定時の干渉成分除去やNO2光解離システムの安定化)を行った。その結果、測定の不確定性を20%以下、検出下限を7pptv(体積混合比1兆分の7)までに抑えることに成功した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Y.Miyazaki: "Springtime photochemical ozone production observed in the upper troposphere over East Asia"Journal of Geophysical Research Atmospheres. doi:10.1029/2001JD000811 (2002)

  • [文献書誌] Y.Miyazaki: "Synoptic-scale transport of reactive nitrogen over the western Pacific in spring"Geophysical Research Abstracts. Vol.5. 7958-7960 (2003)

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公開日: 2004-03-26   更新日: 2016-04-21  

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