触媒や吸着剤等で広く使われているゼオライトは、一般に反応性の高い濃厚アルミノシリケートゲルを所定の温度(〜250℃)で加熱することにより合成される。しかしこの濃厚ゲルはアルミノシリケートが複雑に重合しており、どのアルミノシリケート種が結晶化に寄与しているか解析困難である。故に、分子レベルの反応機構の理解に基づいた、速度論的な結晶化メカニズムの解明が望まれている。 そこで博士課程では、基礎的な"ゼオライトの結晶化メカニズム解明"という問題に焦点を当て、ゼオライトを経験的な知識に頼らず生産する知識の基盤を作ることを目的としている。本研究では、上に述べたような解析困難な濃厚ゲルを直接研究対象とせず、まず(1)アルミノシリケート溶液でのゼオライトの結晶成長メカニズムを解明し、その後、(2)希薄溶液と濃厚溶液の違いを明らかにし、(1)の知見を利用して濃厚アルミノシリケートゲル中からのゼオライト結晶化メカニズムを解明する。 (1)の研究に関して:原子間力顕微鏡による微細表面構造解析により、ゼオライト結晶成長に寄与する前駆体の構造を明らかにすることに成功した。なお、原子間力顕微鏡観察のデータ解析のためにコンピュータを購入した。研究成果をBZA (British Zeolite Association) 25^<th> Annual Meeting (2002年8月エジンバラ)、BMMP-3 (Biomimetic Materials Processing、2003年1月名古屋)にて発表した。また現在、投稿論文を執筆中である。 (2)の研究に関して:2003年4月に播磨のSPring-8の放射光を利用し、アルミノシリケートゲルの構造を解析する予定である。
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