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2002 年度 実績報告書

高分解能電子顕微鏡法および分析電子顕微鏡法を用いた岩石中の粒界化学構造の解明

研究課題

研究課題/領域番号 02J10435
研究機関東北大学

研究代表者

平賀 岳彦  東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)

キーワードマントル / オリビン粒界 / 粒界偏析
研究概要

本年度は,岩石中の偏析現象の特定とその地球科学への適用を目的として研究を行った.その結果、以下の知見が得られた.
1、実験において形成されたオリビン粒界偏析(Ca, Ti, Al)が天然のサンプルにも存在することを予想し,イブレア地域のマントル岩,ハワイ・キラウエア玄武岩中のはん晶間に形成される粒界をSTEM/EDX(走査型透過電子顕微鏡・エネルギー分散型分光)法により解析した結果,岩石中にも同様の偏析が存在することを確認した(Hiraga et al. in press).
2、鉱物組み合わせ及び合成温度を変えることで,異なるCa濃度を持つオリビン多結晶体を合成し,それらの粒界を分析した結果,オリビン粒界及び粒内のCa濃度に相関があることを見出した.つまり,両者にCaの元素分配が成立しており,岩石中の粒界化学を熱力学で扱えることを初めて示した.
3、溶質元素と結晶内において置換されるイオン半径の差が偏析元素の種類を決めている要因であることが判明した.結晶内のCa置換によるミスフィット歪エネルギーを計算したところ,この歪エネルギー値が偏析量を決定していることが分かった.
4、歪エネルギーを求める計算式を他のイオン種にも適用し,それらのオリビン粒内・粒界元素分配を予想した.また,粒界の厚さ,粒径などを考慮し,マントル岩中の粒界における微量元素の存在量を求める公式を確立した.これまで全岩組成と鉱物組成から予想される理想的な全岩組成の間に大きな相違があり,特に,イオン半径の大きな元素ほどその違いが大きいことが知られていた.本研究により予想された分配則により,その理由を説明できることを示した.
5、本研究は,微量元素,特にイオン半径の大きいもの(例えばK, Baなど)が流体を含まない岩石中のどこに存在するのかという地球化学における長年の根源的な問題があったが,粒界に安定に存在することができることを示した点で重要である(Hiraga et al. in press).

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] T.Hiraga: "Interfacial energies for quartz and albite in pelitic schist"Contributions to mineralogy and petrology. 143. 664-672 (2002)

  • [文献書誌] T.Hiraga: "Structure and chemistry of grain boundaries in deformed, olivine + basalt and partially molten lherzolite aggregates : evidence of melt-free grain boundaries"Contributions to mineralogy and petrology. 144. 163-175 (2002)

  • [文献書誌] T.Hiraga: "Chemistry of Grain Boundaries in Mantle Rocks"American Mineralogist. (in press). (2003)

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公開日: 2004-03-26   更新日: 2016-04-21  

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