研究概要 |
本年度は、ウッドチップから作った堆肥の分解過程と土壌の物理的性質との関係を明らかにすることを目的に調査と実験を行った。三重県立四日市農芸高校内のビオガーデンにおいて、1.土壌の物理的・化学的性質、2.土壌水とビオガーデン内の池の水質調査(COD, DO, EC, pH,温度,アンモニア態窒素濃度,硝酸態窒素濃度)、3.土壌動物の観察を行った。4.樹木の剪定枝葉から作った堆肥を埋設し(ガラス繊維ろ紙法)、堆肥の全炭素量と全窒素量の変化を測定(乾式燃焼法)して分解の経過を明らかにした。5.堆肥をビオガーデンから採取した土壌と混合し、恒温恒湿槽内で培養して堆肥の分解過程を明らかにした。6.三重大学内の圃場にも同じ堆肥を施用し、上記と同様の調査を行った。以上の調査については、次年度も継続して行う予定である。これらの成果は、今後ビオガーデンにおける、ウッドチップ堆肥に含まれる有機物の循環過程を明らかにすることに利用できる。また、7.有機物分解の担い手である土壌微生物の活性と圧力条件との関係を調べるための実験を行った。基質を添加した団粒を各圧力条件下で培養した結果、団粒中の全炭素量は大気圧条件下よりも減圧条件下で多く減少した。これは、土壌微生物の活性が土壌水の化学ポテンシャルに影響されることを示すと考えられる。 今年度の成果については、既に学会において発表予定である。次年度は、四日市農芸高校のビオガーデンをモデルとしてビオガーデンにおける有機物資源の循環システムについての調査を進める一方、土壌微生物の活性と土壌水の化学ポテンシャルの関係をより明らかなものとするための実験を行う予定である。
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