研究概要 |
植物細胞における効果的なリボザイム発現形の構築に向け,Nicotiana rustica由来のtRNACys, Nicotiana tabacum由来のtRNATyr, Phaseolus vulgaris由来のtRNALeu, Glycine max由来のtRNAMet(i), Arabidopsis thaliana由来のU6プロモーターをコードするプラスミドを構築した。エレクトロポーレーションにより,タバコBY-2培養細胞に一過的にそれらの遺伝子を過剰発現させたが,それらによってリボザイムの切断活性はほとんど見られなかった。その原因のひとつとして,哺乳動物細胞の培養温度が37℃であるのに対し,植物培養細胞では27℃であることが考えられた。そこで,遺伝子発現を制御する方法として,カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターによる長い二重鎖RNA発現ベクターを用いたRNAi法を検討している。 また,哺乳動物細胞においてRNAiを用いたストレス耐性に関与する遺伝子の研究も同時に進めている。現在のところ,哺乳動物細胞でRNAiは非常に強力な遺伝子発現制御法として注目されている技術であるが,標的RNA配列によっては細胞にストレスを与え,インターフェロン応答に関わる遺伝子を誘導することが問題となっている。現在までの私の研究により,そのストレスの指標となるPKRの発現を抑制するような方法を発見したので,論文の投稿を準備している。
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