研究概要 |
ホモロジーモデリング法は、ゲノムにコードされた立体構造未知タンパク質の立体構造情報を得る有効な手段であるが、鋳型タンパク質と標的タンパク質のアミノ酸配列の一致度が低い(30%未満)場合、アライメントの挿入/欠失の位置を決めるのが難しいため、得られるモデルの精度が低くなるという問題点がある。本年度は、アミノ酸配列の一致度が30%未満である場合に、正確なアライメントが得られるように、研究代表者らが開発したギャップペナルティに溶媒露出度を取入れたアライメント法の改良を行った。まず、立体構造既知であるホモロガスなタンパク質のうち、アミノ酸配列の一致度が30%未満であるタンパク質ペアを収集し、ペアどうしの立体構造を重ね合わせて得られた構造アライメントを正解とした。次に、約2500通りのギャップペナルティパラメータで配列アライメントを生成した。これらのデータは磁気媒体に保存した。各配列アライメントを正解と比較し、最も正解に近い配列アライメントが得られるギャップペナルティパラメータを得た。この改良したアライメント法の精度を、既存の方法のうち最も精度の良い方法と比較したところ、挿入/欠失の位置を決定する精度が約11%向上していることがわかった。さらに、このアライメント法をホモロジーモデリングプログラムFAMS(Ogata, et al.(2000),J.Mol.Graph.Model. 18,258-272.)と組み合わせ、国際立体構造予測コンテスト(CASP 5)の全自動ホモロジーモデリング部門に参加した。その結果、9サーバ中4位という成績であり、このアライメント法が他の方法と比べて遜色ないことがわかった。現在、このアライメント法をホモロジーモデリングに適用し、様々なタンパク質の機能部位の推定を進めている。
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