研究概要 |
新しい熱電材料候補とされている近藤絶縁体CeRhAsとその関連物質について電子構造と物理量を第一原理から計算し、実験との比較によりCeRhAsの巨大熱電能発現の起源について解明をおこなった。 FLAPW法を用いることにより、Ceのような空間的に局在した電子を含む系を精度高く取り扱うことができ、スピン軌道相互作用を考慮した電子構造の計算も可能である。CeRhAs, CeRhSb, CePtSn, CeNiSnについて電気抵抗、光電子分光スペクトルの実験結果が、電子状態から鋭明しうることを示した。 それらを踏まえて、電子状態の総合的な考察から、Ce 4f電子状態のフェルミ準位からのエネルギー位置の違いがそれぞれの電気伝導性の違いを決定していることが明らかになった。 また、CeRhAsについては実験より格子定数の温度依存性が大きいことが報告されているため、電子状態の格子依存性について考察をおこなった。 その結果、バンドギャップが格子定数の変化に対して敏感に変化することが判明した。 さらに、本研究では、求められた電子構造の数値を代入値として熱起電力の温度依存性を計算するプログラムコードを作成し、CeRhAs, CeRhSb, MNiSn(M=Tl, Zr, Hf)について物性予測を行った。 キャリア依存性等、実験結果と比較をおこない、よい一敦を示した。 物質設計を目指して、実験的に熱電測定の行われていない三元の金属間化合物にも多数適用し、多くの熱電材料候補を提示した。
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