本研究プロジェクトにおいて、昨年度までに(1)ダイヤモンド表面の終端元素改質、(2)電解質ゲートトランジスタの開発および動作モデルの構築、(3)改質したダイヤモンド表面への生体分子の固定と、傾向顕微鏡による評価。などの成果が得られている。これらの成果をふまえて、以下の研究を行った。 1)電解質ゲートトランジスタ表面の官能基のプロトン化、脱プロトン化によるトランジスタ動作変化、安定性上限について実験およびイオン拡散モデルによる定量的な評価を行った。 2)DNAやタンパク質がダイヤモンド表面に吸着した際のポテンシャル変化と、電解質ゲートトランジスタのチャネル領域へDNAやタンパク質を固定した際に得られる出力電流・閾値電圧の変化をポワッソン方程式および電流連続の式を用いた二次元デバイスシミュレータを用いて検証した。 3)電解質ゲートダイヤモンドトランジスタのゲート絶縁領域へ一本鎖DNAを固定し、相補的、非相補的DNAによる処理を行い、相補的DNA処理による負電荷増加で引き起こされる闘値電圧シフトを評価する。 4)上記電解質ゲートトランジスタ、およびサイドゲートトランジスタを微細化し、溶液中での動作が可能であるかを検討した。 5)同一基板上に複数のチャネル修飾を有する電解質ゲートトランジスタを形成し、これらの特性(感応性)変化を評価した。 6)単一生体分子検出に必要な0.1μm以下のゲート長を有する電解質ゲートトランジスタを試作・評価した。 7)タンパク質センサへの発展を試みるために、(1)ダイヤモンド表面へのタンパク質・脂質膜の固定、(2)チャネル上へ固定したタンパク質・および脂質膜に固定による伝導性の変化を調査した。
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