研究課題/領域番号 |
02NP0204
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研究種目 |
創成的基礎研究費
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
原口 紘気 名古屋大学, 工学部, 教授 (70114618)
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研究分担者 |
竹内 豊英 名古屋大学, 省資源エネルギー研究センター, 助教授 (40135322)
野津 憲治 東京大学, 理学部, 助教授 (80101103)
鈴木 基之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10011040)
木村 真人 名古屋大学, 農学部, 助教授 (20092190)
巻出 義紘 東京大学, アイソトープ総合センター, 教授 (40011746)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1994
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キーワード | 温室効果ガス / 炭酸ガス / メタン / フロンガス / 陸上生態系 / 発生機構 / 施肥管理 / 人間活動 |
研究概要 |
地球温暖化と関連して、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンガス等の大気中微量ガスが地球の温暖化を促す温室効果ガスとしてその増加が注目されている。本研究はこれらの温室効果ガスの発生と分布を明らかにするために、日本およびタイを中心に連続モニタリング並びに空間的・時間的濃度分布の測定を行うとともに、温室効果ガスの発生による陸上生態系への影響評価、農地管理の方策、発生源対策に関する研究を行うことを目的とする。本年度はこのような研究目的に沿って、まず名古屋大学省資源エネルギ-研究センタ-にメタンおよび二酸化炭素の連続モニタリング装置を設置し、それぞれ8月および11月から大気中濃度の連続測定を開始した。メタンはガスクロマトグラフ装置を用いて10分間毎の測定値を、また、二酸化炭素は非分散型赤外線吸収装置を用いて連続的な測定値を得ている。いずれの微量ガスも一般に夜間に濃度が増加し、朝方から減少して昼間は低い濃度となる。ただし、昼間の低い濃度は地球大気の平均濃度に近い値となり、メタンは約1.8ppm、二酸化炭素は約350ppmであった。現在、気象変化、日変動、月変動などの解析を進め、都市大気中の温室効果ガスの動態の解明をめざしている。 メタンガスについては水田からの発生が将来の地球温暖化の大きな要因と考えられているが、メタン濃度は地域変動が大きいために発生量、発生機構、対策について基礎的研究が望まれている。本研究では、まず日本の水田土壌からの二酸化炭素とメタンの潜在的発生量の見積を行った。これらのガス発生量は土壌有機物(炭素)の量に依存するが、稲作や気象条件によっても大きく変化し、日本の南部ほど発生量は多くなる。実験的研究としては、ポット実験による稲作栽培を行い、全稲作期間におけるメタンの発生量を測定した。実験には安城と福島土壌を用い、それぞれを無処理、稲わら、堆肥、化学肥料等の施肥管理を行い、さらに田植後6週間で水落ちを行う等の水管理も実施した。その結果稲作水田からのメタンの発生量に関し、重要な知見を得た。まず、水田土壌からのメタンの約90%は稲体を通して大気中に放出される(パイプ効果)こと、稲わら処理区以外では稲作期の後半に発生量が多いこと、水落ちなどの水管理を行うと発生量は減少すること、などが明らかになった。現在このような実験結果をもとに、通常水田からのメタン発生量の推定および発生抑制のための圃場管理等の検討を行っている。以上の研究成果は国際会議や国内の学会で発表を行った。さらに、地球温暖化の国際共同研究および調査のために、タイ、オ-ストラリア、ヨ-ロッパに研究者を派遣するとともに、タイ国の研究者を招へいし、討議を行った。とくにタイにおいては、平成3年度から大気中のメタン濃度測定、および水田からのメタン発生量測定に関する研究を推進するために、カセサ-ト大学とチュラロンコン大学の研究者と準備を進めている。また、東南アジア地域のフロンガス濃度測定のための共同研究を実施する拠点作りも検討中である。
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