研究分担者 |
楊 坤河 新彊医学院, 内科学, 助手
劉 開彦 新彊医学院, 内科学, 助手
張 家麟 新彊医学院, 薬理学, 教授
久保 智之 福岡教育大学, 教育学部, 助教授 (30214993)
山内 須美子 中村学園短期大学, 食物栄養科, 助教授
斉藤 篤司 九州大学, 健康科学センター, 助手 (90195975)
緒方 哲朗 九州大学, 歯学部小児歯科, 助手 (50204061)
中田 稔 九州大学, 歯学部小児歯科, 教授 (40014013)
山田 裕章 九州大学, 健康科学センター, 教授 (60038726)
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研究概要 |
中国新彊イリ地区に居住するシボ族の実態を人類学的,医歯学的手法を用いて明らかにすることを目的として調査研究を行った。 〈対象〉シボ族903名,年齢7才より72才。 〈方法〉人類学的調査(形質人類学,生理人類学,文化人類学),医学的調査(内科,血液生化学検査,心電図,心エコ-図),歯学的調査(口腔診査,歯列印象),体力調査,栄養学的調査,言語学的調査 〈結果および考察〉形態的指標、身長等の形態諸指標からは,予備調査で判明している範囲内のウイグル族とは異なり,日本人により近似していることが判明したが,生理学的指標(心電図左室電位等の生理人類学,医学諸指標)からは,逆に,ウイグル族よりさらに日本人からは遠位にあった。一方,歯科人類学的諸指標からは,シボ族は,ウイグル族と日本人との中間に位置することが分かった。これらの形態的特徴からどのような生理的機能を持つかということを最大酸素摂取能力で見ると,シボ族は,最高で,日本人は最低であった。これは主として生活形態の差異に基くものと考えられる。生活形態を明らかにするために,食生活を中心とした調査を行った結果,食餌の偏りと疾患(高血圧、虚血性心臓病)との関係が示唆された。 ところで,シボ語は今や,絶滅の危機にある言語であるが,今回の調査で,老年層の話すシボ語の音韻体系が明かとなった。 文化人類学的調査では,イスラム,仏教などとは異なる特異な土着の宗教風俗が判明し,それが病気の治療とも密接に関連していることが分かったが,しかし,若年層では,確実にこの宗教風俗離れが観察された。
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