研究概要 |
1.植物相の研究 熱帯では植物相の研究が十分進んでいないので,植物を調査しても種名を決定できなかったり,別の種が同じ名で呼ばれたり,逆の場合もしばしば起こる。本研究で重要なフタバガキ科のテンカワングループとトウダイグサ科のオオバギ属でも,その様な混乱があるので,我々の標本とボゴール標本館所蔵標本の分類を再検討した。その他の種類についてもできるだけ同定した。 2.フタバガキ林の調査 昨年度は,フタバガキ科の中でも経済的に重要なテンカワンのグループを調査した。しかしテンカワンは川沿いに分布するので,その他のフタバガキ科が優占する森林のほうが調査地域の西カリマンタンには多い。そこで丘陵地のフタバガキ科天然林を調査した。他種のフタバガキ科が優占し,樹高80mに達する森林に1haの継続調査区を2個設定した。そこで埋土種子,土壌,実生の発生状況などの調査も行った。 また,調査地域には標高1800mに達するニウット山があり,山地と低地では植生が異なる。今まで2年間の調査地は標高100m前後の所だけなので,標高1000m前後で,フタバガキ科と針葉樹などが混生する場所でも,小調査区を3つ設定した。 3.人間による森林利用の調査 熱帯林に住む人々は,木材としてばかりではなく,さまざまな形で林産物を利用している。その状況を知るために各地でどの植物をどのように利用しているかを,聞き込み調査した。また焼畑として利用されている森林が多いので,その利用形熊を観察するとともに,その後の植生回復を追跡するための調査区を設定した。
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