研究分担者 |
陸 学芸 中国社会科学院, 社会学研究所, 教授
張 厚義 中国社会科学院, 社会学研究所, 助教授
木下 英司 早稲田大学, 人間科学部, 助手 (10214842)
吉沢 四郎 中央大学, 商学部, 教授 (90055088)
中村 則弘 帯広畜産大学, 教養部, 助教授 (10192676)
柿崎 京一 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (00041799)
丁 水木 上海社会科学院, 社会学研究所, 助教授
徐 安き 上海社会科学院, 社会学研究所, 講師
池岡 義孝 早稲田大学, 人間科学部, 助教授 (90151274)
安原 茂 成蹊大学, 法学部, 教授 (70054286)
根橋 正一 武蔵野短期大学, 講師 (50164661)
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研究概要 |
本研究では,都市班と農村班の2つの研究グル-プを組織し,前者では上海市内の2つの居民委員会,後者では山東省菜蕪市内の山村を対象として本年度の調査を実施した。都市における行政組織は,市ー区ー街道ー居民委員会ー小組を通例としている。さらに居民委員会と小組の中間にインフォ-マルな単位として「塊」(自然塊)があり,数小組を包括している。この「塊」は解放前の旧里寿とも関連がみられ,居民委員会のフォ-マルな地域活動と共に,住民の生活組織を捉えるうえで旧市街地では注目される。2居民委員会のサンプル調査による家族構成についてみると,夫婦・核心家族がほぼ半数を占め,これについで直系家族(25〜30%)が多い。後者のうち親と子夫婦の「分食」のケ-スが3分の1を占めている。また,現行戸籍制度のもとで現住と戸籍家庭に乖離が進行しており,調査地のサンプル事例では,両者不一致の家庭が約25%に達している。農村班の対象とした山村(163戸)は解放前からの自然村であり,人民公社時代は一生産大隊,公社解体後は行政の末端単位として一貫して農民の生活組織の単位をなしていた。かつては非常に貧困であったが,1975年から始まる農業用ダムの村民自力の建設(現在大小6水庫)によって土地改造・増反が進み,生姜生産を中心とした商品生産の飛躍的な発展が実現した。こうした社会資本の拡充は,公社解体(1983年)後も生産手段の個人分割せず新たな共同組織へと発展させ,公的蓄積を増殖させることに結果した。その後この公的蓄積は村営工場の建設(1984年,現在3工場)へと発展し,67%の農家が工場就労者を含んでおり,経済的に急上昇している。そこではリ-ダ-の果した役割,山村の伝統を基盤とした意欲の高揚も注目される。今後,こうした経済発展が社会階層,自然村の秩序への影響が注目される。
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