研究分担者 |
小田 昌教 九州大学, 文学部・宗教学科, 大学院生
慶田 勝彦 九州共立大学, 経済学部, 助教授 (10195620)
浜本 満 一橋大学, 社会学部, 助教授 (40156419)
上田 冨士子 九州国際大学, 国際商学部, 教授 (70213361)
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研究概要 |
今年度は3年計画の2年度目にあたる。昨年度実施された各研究担者による個別地域での重点的調査研究を踏まえ,今年度は各地域の比較に重点をおいた研究をおこなった。3度の研究を開催し,前年度までに収集された各地域のデータを比較検討するとともに,8月から10月にかけて現地での共同調査を行った。研究会においては,病気や災いを引き起こす主な原因とされている「妖術」「祖霊」「憑依霊」「性のタブーの侵犯」等に対する考え方やそれに対する対処の仕方に,地域毎にどのような共通点,相違点が見られるかを検証した。その結果,各地域は病気の原因をめぐる理論の枠組みにおいてはほぼ共通しているが,どの原因が相対的に重要な位置を占めるかについては各地域毎にかなりの相違が見られること,また同じ病因(例えば「憑依霊」)についても地域毎に大きな差異があり(例えばある種の憑依霊は特定地域では多くの病気を引き起こしているとされるが,他の地域ではあまり言及されない,など),それらに対する対処法についても,各地域の呪医毎に得意とする領域に偏りが見られること,従って,病気治療に際してしばしば他地域,他集団の呪医の治療が求められることなどが明かとなった。共同調査は,急病のため参加を断念した研究代表者吉田禎吾を除く,残りのメンバー全員によって予定通り行われ,こうした地域的差異や地域横断的な呪医の活動の実熊が調査された。この共同調査は,ミジケンダ諸族の病気をめぐる文化体系の全域的な把握を目指すと共に,個別調査者の資質や特定の関心傾向のために生じる可能性のあるデータの偏りをチェックすることも目指したもので,この点でも当初の目的を達成することが出来た。この調査の結果イスラム化による病気をめぐる諸観念の変質の思要性が指摘され,この点を確認すべく研究代表者の依頼を受けて研究協力者小田昌教は再度の現地調査を行った。
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