研究課題/領域番号 |
03041076
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
大野 盛雄 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (90012963)
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研究分担者 |
長場 紘 アジア経済研究所, 国際交流室, 次長
原 隆一 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (70198901)
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キーワード | 米の道 / トルコ / 地中海 / 水稲 / 灌漑 / 米作社会 / 農民 / 米の料理 |
研究概要 |
研究代表者の大野盛雄、分担者の原隆一、長場紘、研究協力者の星山幸子の4名は平成3年7月23日より9月13日に至る期間、トルコのイスタンブルを基地として、(1)西部のギリシア、ブルガリアに接するトラキヤ地方(ヨ-ロッパ側)のメリチ川流域、(2)中央アナトリアのクズルウルマク川の本流ならびにその支流域、(3)黒海の沿岸地方、(4)イラク、シリアに接する南東アナトリア地方のチグリス川、ユ-フラテス川流域ならびに地中海沿岸地方の現地踏査を実施し、昭和63年以来大野を中心として行なってきた予備調査の成果も含めて、初めてトルコのほぼ全域にわたる稲作水田の分布と、米の生産・流通・消費(調理)に関する概況を把握することができ、それにもとづきトルコにおける「米の道」の歴史的経過についての一応の仮説を立てることができた。 そもそも米は古く東方インドからの「南路」を通って伝来したとみなされる説が一般に定着している。しかしイランにおいては古くから田植を行なってきたのに対して、トルコにおいては全て直播で、そのことはトルコ人が中央アジアから民族移動をして来た際に、「南路」以外に、トルキスタン、アゼルバイジャンを経由する「北路」を通って、乾燥気候に強い栽培方法を持ち込んだことによるのではないかという仮説が立てられる。このことを裏付けるものとして旧ソ連から離脱した中央アジアのタジキスタン、カザキスタン、キルギスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャン諸国で米作が行なわれていることに注目すべきであり、将来の現地調査が予想される。 さらに分担者の原隆一は平成4年3月14日より31日至る期間、イタリア北部のポ-川流域、チュニジア北部、スペイン東北部エブロ川下流域、南部グァダルクィヴィル川下流域の水田地帯を踏査し、その間ロ-マのFAO本部で世界の米に関する情報を収集し、1992年度第2回現地調査のための予備調査を実施した。
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