研究分担者 |
リンクラン チトラコン タイパトムタニ稲研究所, 研究員
山岸 博 京都産業大学, 工学部, 助教授 (10210345)
佐藤 雅志 東北大学, 遺伝生態研究センター, 助手 (40134043)
島本 義也 北海道大学, 農学部, 教授 (00001438)
森島 啓子 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研交系, 教授 (70000247)
|
研究概要 |
本年度はベトナムおよびカンボジアの調査を行った。ベトナムではホーチミン市の周辺ほか,別動隊がメコンデイタの上流部までさかのぼって主に野生イネの巨大群生集団を調査した。同地域の野生イネは裁培イネからの遺伝子の導入が少なく,純粋す野生イネの巨大な集団が残されている。またその細胞質遺伝子はジャポニカとも近く,その意味では他の東南アジア各地の野生イネとは多少異なる系譜をもっているように見られた。裁培イネの多くは改良品種におきかえられ,遺伝的侵食のすすんでいることがわかった。とくにIRRI由来の矮性品種との置きかえは顕著である。また,こうした矮性品種が直播田に転用されているケースが多々認められた。 また本隊はベトナムから陸路国境を越えてカンボジアに入り首都影響を受けていないと思われる多量の大規模集団が観察された。集団サイズは今までのどの報告によるものよりも大きく数キロメートル四方に及ぶものも認められた。またプノンペン市内では雑草として水田中に侵入したものも認められ,遺伝的侵食が開始されていることがわかった。裁培イネは多くが在来品種であり改良品種とのおきかえる進行していない。しかし改良品種との置きかえは今後急速に進むことが予想され,いち早く遺伝資源の収集にかかる必要があると思われる。 平成5年3月には,昨年度のラオス調査時にビエンチャン市内に設置したサイト定点観察のデータ解析のため,現地のP.インタパニャ氏を招へいし,データを受領するとともに意見交換を行った。また3月15日から2名をバンコクに派遣し,バンコク市周辺における根定サイトの継続調査を行った。
|