研究課題
平成4年度は、スウェーデン、アメリカのグループホームの現状、特に「生活の質」について以下の調査を行なった。1.比較対象都市はスウェーデンは、ストックホルム県北東サーヴィス地区としアメリカ、オハイオ州、フランクリン郡とした。2.対象グループホームは、最重度、重度、中度、軽度の精神遅滞者のグループホームである。3.調査項目はa日常生活行動(食事作り、金銭管理等)の自立の程度b仕事(福祉就労および企業就労)の実態c所得(年金および給与)の実態d地域資源の利用(買物、レストラン等)の程度と満足度e趣味、余暇活動f対人関係の広がり(グループホーム関係の友人、家族等)と内容g将来の生活設計(グループホームからの自立)h人権援護のシステムである。4.調査の結果は以下の通りである。1)スウェーデン、アメリカとも特に重度、重複のの障害の人々に対するグループホームがあり、これらは介護の職員がニーズに対応して配置されているため、生活の質が高く保たれている。2)アメリカでは、日常生活のいろいろな面でケースマネージメントが参与しており、それが生活上のいろいろな展開を可能にしている。しかし、ケースマネージャーのクライアントに対する割合は必ずしも十分なものではない。3)スウェーデンでは、地域社会への広がりにコンタクト・パーソンを導入している。4)建築上の問題では、居室等の広さが生活の質を高めていることは事実であるが、部屋の中から内部の居間だけでなく、屋外に直接出ていけるような配慮がある。5)人権養護のシステムについては、オンブズマンや人権擁護の委員会が展開している。6)余暇指導については、アメリカではそれ専用のチームがあり、一方スウェーデンでは、FUB等の親の会による支援がある。7)これらの状況は、日本のグループホームとかなり異なっている。日本では、介護職員が一人であり、しかも、地域での支援がなく今後の多くの問題が残されている。
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