研究課題
平成3年度は米国側Norman教授がこれまでのHSTによる観測結果から宇宙電磁現象の特徴を持った対象についての情報を提供し、これに対して日本側で数値シミュレ-ションの準備および実行を進めた。対象としては(i)星形成ジェット、TTau型星の円盤、(ii)活動銀河中心部の緒活動、等のHSTの高分解を用いて初めて行えるこれらの構造とその中の速度分布の研究、、および、(iii)ライマン・アルファ・フォレストを作っている原始銀河のハロ-構造や原始銀河の空間分布等の深宇宙の構造についての研究を選んだ。(i)は内田、観山、柴田にRosner教授が協力し、(ii)は内田、松元、柴田にFerrari教授とそのグル-プが協力し、また(iii)は池内にNorman教授のグル-プが協力して、それぞれの問題について数値シミュレ-ションの手法を用いて解析を行ない、観測と比較を行った。平成3年度は、HST副鏡の問題で予定のデ-タ取得が遅れ気味であったこともあって、シミュレ-ション・サイドの開発を先行させた。例えば、形成中の星からの高速の光学ジェットの発生に対して電磁流体力学的機構を新たに提案してシミュレ-ション解析ソフトの開発を行ない、HerbigーHaro天体を「磁場に導かれた光学ジェット前面の電磁流体衝撃波とそれによって加速された星間小雲」として説明する新しいモデルを1.5次元のMHDコ-ドを用いたシミュレ-ションを用いて提案した。更にHerbigーHaro天体の捻れた尾の形成機構として、これがMHDヘリカル不安定により説明されるのではないかと考え、同グル-プで開発した3次元MHD風上差分コ-ドによりシミュレ-ション解析を行ない、実際にこの考えが成り立つことを示した。
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