研究課題
平成3年度は、米国ブルックヘブン国立研究所AGS加速器からの高エネルギ-原子核ビ-ムとタ-ゲット原子核との衝突によって生成される同種二粒子を測定した。これは、二粒子の干渉効果により、反応領域のサイズを確定し、反応によって、生成される状態の密度を決めるためのものである。すなわち、核子あたりの15GeVのシリコンビ-ムと各種タ-ゲット原子核との衝突で発生するπ中間子、K中間子それぞれについて同種二粒子相関を測定した。そして、中間結果ではあるが、反応サイズとしては、入射粒子と同程度という結果を得た。K中間子を用いた二粒子相関実験は、世界で最初のものである。現在、より詳細な解決が進んでいる。平成3年度には、AGSにおいて、ブ-スタ-シンクロトロンが完成し、これにより、平成4年4月には金イオンの加速テストが始められる。平成4年度に行われる金ビ-ムを用いた本格的実験開始を目指し、前方小立体角スペクトロメ-タ-の建設を日米共同で行った。スペクトロメ-タ-の粒子飛跡検出装置であるTPCの一号機の建設は日本側で行ったが、このほど完成し、現在、性能検査中である。また、ハドロンのデ-タ解析も進んでおり、前年までに判明したストレンジネス量子数を持つK中間子とπ中間子との比の異常については、反応領域近くでのこれら中間子の吸収散乱等の効果が大きく関与していることがわかり、比の異常がQGPと直結するものではないことがわかってきた。なお、現在、詳細な解析を続行中である。
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