低次元構造半導体とデバイス

1993 年度 研究成果報告書概要

• 研究課題/領域番号: 03044038
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 共同研究
• 研究機関: 東京理科大学
• 研究代表者: 上村 洸 東京理科大学, 理学部, 教授 (60011475)
• 研究分担者: SKOLNICK Mau Schefield大学, 物理, 教授 ; NICHOLAS Rob Oxford大学, 物理, リーダー ; PEPPER Mike Cambridge大学, 物理, 教授 ; KELLY Mike Cambridge大学, 物理, 研究員 ; EAVES Lawren Nottigham大学, 物理, 教授 ; BUTCHER Paul Warwick大学, 物理, 教授 ; WALLING John 英国科学, 技術院, LDSD調整官 ; 三浦 登 東京大学, 物性研究所, 教授 (70010949) ; 浜口 智尋 大阪大学, 工学部, 教授 (40029004) ; 川路 紳路 学習院大学, 理学部, 教授 (00080440) ; 神谷 武志 東京大学, 工学部, 教授 (70010791) ; 安藤 恒也 東京大学, 物性研究所, 教授 (90011725) ; 青木 秀夫 東京大学, 理学部, 助教授 (50114351) ; KELLY M.j. Cavendish Laboratory, Univ. of Cambridge now at Physics Dept., University of Sur
• 研究期間 (年度): 1991 – 1993
• キーワード: 日英共同研究 / ナノスケール半導体 / 物性研究所 / 超強磁場施設 / LDSD / 新しい量子現象 / 総括会議 / SERC迎賓館

研究概要

当共同研究は、文部省と英国科学工学研究会議(SERC)との相互協定に基ずき、短周期半導体超格子、ヘテロ接合、量子細線、量子ドット等ナノスケールの低次元構造半導体物質について、その電子構造及びメソスコッピク領域を主とした種々の量子現象を明らかにし、その特性をデバイスに応用する基礎研究を行うために、日英の半導体分野の研究者が3年間にわたって共同研究を行うことで、平成3年4月にスタートした。本平成6年3月をもって共同研究は以下に報告するように成功裡に終了した。
本共同研究の一つの大きな特色は、英国側分担者・研究協力者(以下研究者と呼ぶ)がSERC・LDSDプロジェクトで作成した試料をもって、東京大学物性研究所超強磁場施設に参り、三浦分担者を初めとする日本側研究者と共同して磁気光学及び磁気輸送現象について実験を行い、その結果を両国の実験家・理論家が協力して解析・討論することにより、顕著な科学的成果を挙げてきたことである。
具体的な共同研究の内容としては、まず平成3年の初年度に英国側研究者がSERCの費用で来日し、三重県鳥羽市で日本側研究者と第1回の日英(10+10)会合を開催して3年間の共同研究のプログラムとその進め方について討議を行った。その合意に基づき、まず川路・三浦両分担者と中山隆史協力者が渡英して英国のLDSD拠点大学を訪問して共同研究を開始し、次いで平成4年度には英国よりNicholas、Mowbray両博士が物性研究所に滞在して、英国より持参した半導体超格子の試料を用いて共同実験を行った。またWhittaker博士も物性研に滞在して安藤分担者と理論面で共同研究を行った。日本側からも平成4年度には、上村代表者と青木分担者が渡英して、主としてケンブリッジ大学及びインペリアル・カレッジに滞在して共同研究を行った。
平成5年度は、当共同研究の最終年度にあたるため、上村代表者は平成5年2月から3月にかけて英国を訪問し、英国側代表者のWalling博士及び副代表者のButcher分担者と3年間の共同研究の纏め方について討議を行った。その結果、日英両国の全分担者並びに協力者が一同に会して、3年間の共同研究の成果について討議を行い、また将来の共同研究の進め方について意見交換を行うことが共同研究を締めくくるのに最も有効な手段であるとの結論になり、そのための総括会議(workshop)を英国側研究者の好意とBritish Council(BC)東京オフィスの援助で平成5年8月30日及び31日の2日間、英国オックスフォード州アビンドンのSERC迎賓館で開催することとなった。会議には日本側から13名、英国側から15名、それにSERCの担当官とBCの科学担当官のSowden博士が出席し、非常に友好的な雰囲気の中で活発に討論が進められ、成功理に3年間の共同研究を締めくくることが出来た。また平成5年度には、オックスフォード大学のDavidko博士が上村代表者、青木分担者の研究協力者として来日し、東京理科大学理学部、東京大学理学部において炭素フラーレン物質の超伝導機構を初めとして半導体、強相関係の電子・格子状態について理論面から共同研究を行った。
以上、3年間に亘る日英研究者間の親密な交流と積極的な共同研究により、日英両国の研究者間に非常に友好的な雰囲気が生まれ、しかも日英研究者がお互いの足りないところを補完する形で共同研究を進めたこともあって、短期間に大きな成果を挙げることが出来た。この折角作られた親密な友人関係を保って、さらに共同研究を進めれば、より素晴らしい成果が得られであろうというのが総括会議の結論であった。
なお最後に、当共同研究は、平成4年10月8日に英国王立協会で開催された、英国政府主催の「日英科学技術セミナー」において、最も成功した日英共同研究の一例に選ばれ、英国側研究代表者のWalling博士と日本側を代表して上村研究代表者の代わりに、たまたまケンブリッジ大学に滞在中であった青木分担者が共同研究の進捗状況について講演を行ったことを付記しておきたい。

研究成果

• [文献書誌] 上村洸: "Electronic Structures of Newly Predicted Intercalation Compounds" J.Physical Society of Japan. 62. 2408-2418 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 上村洸: "New Theoretical view for High Temperture Superconductivity" J.Physical Society of Japan. 62. 3368-3371 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 安藤恒也: "Valley Mixing in Short-Period Superlattices and Interface Matrix" Physical Review B. 47. 7240-7252 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 安藤恒也: "Subband Structure of Quantum Wires in High Magnetic Fields" J.physical Society of Japan. 62. 2986-2989 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 安藤恒也,青木秀夫: "Quantum Hall conduction in quantum wires" Physica B. 184. 365-368 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 青木秀夫: "Electronic structure of superhoneycomb systems" Physical Review Letters. 71. 4389-4392 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 川路紳治: "Device-width dependence of plateau width in quantum Hall states" Physica B. 184. 17-20 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 川路紳治: "Quantu transport in semiconductor surface and interface channels" Surface Science. 299/300. 563-586 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 浜口智尋: "Electronic band structure of superlattices under a uniform electric field and Wannier-Stark effect" Semiconductor Science and Technology. 7. 1047-1051 (1992)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 浜口智尋: "Manetophonon Resonance in Quantum Wires" Physical Review B. 45. 4536-4539 (1992)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 三浦登: "Magneto-optical Inverstigation of Energy Band Structure in GaAs/AlGaAs Short Period Superlattices under High Magnetic Fields" Surface Science. 263. 600-603 (1992)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 三浦登: "New Features of the Electronic Phase Transition Observed for Gaphite in High Magnetic Fields" Physica B. 177. 111-114 (1992)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 上村洸,仁科雄一郎,水田正志(編者): "Physics and Chemistry of Nano-meter-scale materials" Elsevier Sequoia, 202 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 上村洸(編者): "シミュレーション" サイエンス社, 178 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 青木秀夫,塚田捷,M.Schluter,F.Levy(編者): "New Horizons in Low-Dimensional Electron Systems" Kluwer academic Publishers, 470 (1992)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 安藤恒也,浜口智尋,難波進(編者): "Science and Technology of Mesoscopic Structures" Springer-Verlag, 300 (1992)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Hiroshi Kamimura: "Electronic Structures of Newly Predicted Inter-calation compounds" J.Physical Society of Japan. 62. 2408-2418 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Tsuneya Ando: "Subband Structure of Quantum Wires in High Magnetic Fields" J.Physical Society of Japan. 62. 2986-2989 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Hideo Aoki: "Electronic Structure of Superhoneycomb Systems" Physical Review Letters. 71. 4389-4392 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Shinji Kawaji: "Device-width Dependence of Plateau Width in Quantum Hall States" Physica B. 184. 17-20 (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Chihiro Hamaguchi: "Magnetophonon Resonance in Quantum Wires" Physical Review B. 45. 4536-4539 (1992)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Noboru Miura: "New Features of the Electronic Phase Transition observed for Graphite in High Magnetic Fields" Physica B. 177. 111-114 (1992)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] (editors) Y.Nishina, M.Mizuta, and H.Kamimura: Elsevier Sequoia. Physics and Chemistry of Nanometer-scale Materials, (1993)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Hideo Aoki: Kluwer Academic Publishers. New Horizons in Low-Dimensional Electron Systems, 261-280 (1992)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] T.Ando, H.Tamura and H.Akera: Kluwer Academic Publishers. New Horizons in Low-Dimensional Electron Systems, 351-368 (1992)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Tsuneya Ando, Chihiro Hamaguchi and Susumu Namba(editors): Springer Verlag. Science and Technology of Mesoscopic Structures, (1992)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より