研究課題/領域番号 |
03044039
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山崎 泰規 東京大学, 教養学部, 助教授 (30114903)
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研究分担者 |
東 俊行 東京大学, 教養学部, 助手 (70212529)
小牧 研一郎 東京大学, 教養学部, 教授 (40012447)
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キーワード | 荷電粒子ー固体相互作用 / 2次電子 / コンボイ電子 |
研究概要 |
これまで、低速反陽子と炭素薄膜の衝突で、ビ-ムの下流側に反陽子とほぼ等速で放出される電子の測定を行い、波乗り電子に対応するエネルギ-位置に巾の広いピ-クを観測した。ところで、終状態での反陽子と電子のク-ロン反発力により、電子のエネルギ-スペクトルには大きな窪みが現われると信じられていたが、我々の実験はこれに否定的であった。これまでの所、この窪みの“消滅"は,標的中での電子の多重散乱によると考えられている。我々はこの仮説を確認するため、まず、電子と気体標的の衝突で、散乱電子と放出電子が同一の方向へ放出される場合の実験装置を考案し、それを製作した。第一案として、“電子押し返し型"(retarding)の高効率装置を作ったが、実験に用いた10^<ー6>Torr台の真空度では、電子ビ-ムによる残留ガスの電離が無視できず、不調に終った。次に我々は、相対放出角固定(〜4゚)の2重セクタ-型分折器を作成した。これは上記の一号機の欠点をなくすベク設計したもので、一号機に比べて効率は低いが、ノイズには強いものとなっている。実験はオ-フス大で行っているが、電子の入射エネルギ-の低下とともに、深い窪みの埋められていく傾向が見られた。最終的結論を出すにはなお注意深く実験をくりかえすことが必要であるが、反陽子実験との対応関係にも興味深いものがあると考えている。なお、東大核研のSFサイクロトロンを用いた重イオンによる予備実験では、2次電子の放出数分布を測定し、標的膜前後への放出に明らかな相関を見出した。このような相関が負の荷電粒子を用いた場合どうなるかは非常に興味深く、来年度の課題の一つと考えている。
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