研究課題/領域番号 |
03044040
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
和達 三樹 東京大学, 理学部, 教授 (60015831)
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研究分担者 |
HARVEY Segur コロラド大学, 応用数学, 教授
MARK Ablowit コロラド大学, 応用数学, 教授
出口 哲生 東京大学, 理学部, 助手 (70227544)
矢嶋 徹 東京大学, 工学部, 助手 (40230198)
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キーワード | ソリトン / 非線形波動 / ランダム行列 / Illーposed problem / Selberg積分 / 逆散乱法 / 逓減摂動法 / 不安定非線形シコレディンガ-方程式 |
研究概要 |
1)不安定性を持つ非線形系に対して、ソリトン理論を拡張した。特に、不安定系における振幅変調に対する詳しい解析を行なった。通常の非線形シュレディンガ-方程式の代りに、時間tと空間xを入れかえた非線形発展方程式が普遍的に得られる。この方程式を、不安定非線形シュレディンガ-方程式と新たに名づけた。逆散乱法によって、ソリトン解を構成し、また、初期値問題の解法を行なった。この結果は、電子ビ-ムプラズマにおける実験を説明する。 2)不安定非線形シュレディンガ-方程式は、大きな波数kにおいて上限なしの不安定性を持つ。この問題はieeーposed問題として有名である。逓減摂動法を適用することによって、新しい微分項がつけ加わることを示した。この新しい振幅方程式は、積分可能系ではない。一方、カオス現象とソリトン現象を橋渡しする方程式であると考えられる。 3)ランダム性や外部雑音があるとき、非線形媒質をどのようにソリトンが伝播するか、を調べた。特に、ランダムな質量分布を持つ1次元非線形格子から出発し、局在波を記述する方程式や振幅変調を記述する方程式が、どのような修正を受けるかを調べて、各々に対し新しい可積分非線形発展方程式を導出した。 4)自由度の大きな力学系に対する一般的な模型として、ランダム行列理論に注目し、対数関数的にすべての粒子が相互作用する系の熱力学を調べた。SELBERG積分公式を適用することにより、分配関数や熱力学諸量を厳密に評価した。また、古典直交多項式の理論を用いて、ランダム行列に関連した系の相関関数を厳密に計算することに成功した。 以上の結果は、米国側研究者との議論による所が大きい。その1部は共著編文として印刷中である。
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