研究課題/領域番号 |
03044063
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
堅田 利明 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (10088859)
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研究分担者 |
FRASER Shill コネチカット大学, 医学部(米国), 研究員
LAURINDA A J コネチカット大学, 医学部(米国), 教授
千葉 和義 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (70222130)
高橋 勝宣 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (40183850)
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キーワード | GTP結合タンパク質 / 百日咳毒素 / 細胞膜受容体 / 卵成熟 / 受精 / 細胞膜受容体 |
研究概要 |
動物細胞の原形質膜表面上にはホルモン、神経伝達物質などの細胞外刺激物質(アゴニスト)と結合する種々の受容体が存在し、アゴニストのもたらす情報を認識受容している。受容体にアゴニストが結合するとその情報の多くは、細胞膜の内側に向いて存在する膜結合性酵素やイオンチャネルなどの効果器系へと伝達され、細胞内に新しい情報伝達物質(セカンドメッセンジャ-)が生起する。こうした受容体から細胞内効果器系への情報伝達には、共役因子としてGTP(GDP)と結合する制御タンパク質(Gタンパク質)の介在する系が存在する。本研究においては、系統発生上重要な位置を占めるヒトデをモデル系として、卵成熟と受精の分子機構におけるGタンパク質の役割の解明を目的とした。 本研究計画の初年度である平成3年度においては、主にヒトデ未成熟卵よりのGタンパク質の精製とその特性について研究し、以下の点を明かにした。卵の細胞膜には、百日咳毒素によってADPリボシル化されるαβγ三量体型のGタンパク質が比較的多量に存在し、そのタンパク質を均一にまで精製した。精製されたGタンパク質の物理特性(グアニンヌクレオチド結合活性やGTP水解活性)は先に哺乳動物において見い出されたものと極めて類似していた。このGタンパク質は、ヒトデにおいて卵成熟ホルモンとして機能する1ーメチルアデニンの受容体と共役し、卵成熟促進因子(MPF)の生成に至る情報伝達経路に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。さらに、ヒトデGタンパク質のαサブユニットをコ-ドすると考えられるcDNAを単離することに成功し、そのアミノ酸配列を哺乳動物のGタンパク質αサブユニットと比較した結果、G_iー1のファミリ-に属することが明かにされた。
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