研究分担者 |
HERBERT Walt ゲッチンゲン大学, 無機化学研究室, 教授
ALAIN TRESSA 国立科学研究センター, 固体化学研究室, 教授
DIDIER DEVIL ピエールマリーキュリー大学, 電気化学研究室, 教授
MARIUS CHEML ピエールマリーキュリー大学, 電気化学研究室, 教授
渡辺 信淳 応用科学研究所, 所長 (30025803)
鄭 容宝 応用科学研究所, 室長 (50188653)
高島 正之 福井大学, 工学部, 助教授 (60115300)
小林 宏 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (10037731)
ROESKY Herbert Walter University of Goettingen, Professor
TRESSAUD Alain Laboratory of Solid State Chemistry of CNRS, Professor
DEVILLIERS Didier University of Pierre and Marie Curie, Professor
CHEMLA Marius University of Pierre and Marie Curie, Professor
CHONG Young-bo Applied Science Research Institute, Chief Researcher
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研究概要 |
フッ素化合物およびヘテロ原子ト化合物の合成と電気化学的性質に関する共同研究を行い,以下の結果を得た。 1.グラファイト化合物の合成と電気化学的性質 天然黒鉛粉未をホストとしてフッ化バナジウムの層間化合物をフッ素ガス雰囲気中で合成した。得られた化合物は第2ステージのC_<22>VF_6〜C_<17>VF_6および第1ステージのC_<12>VF_6〜C_<10>VF_6で,これらの化合物の電気化学的性質をリチウムを負極としてプロピレンカーボネート溶液中で調べた。電位走査法によって求めた環元曲線には3つの環元ピークが見られ,リチウム極基準で-0.15V,-1.50Vの環元ピークはいずれの試料においても共通であったが,もう1つの環元ピークは+0.10Vから-0.9Vへ挿入物の濃度が低くなるにつれて低電位側に現れた。またフッ素のみが挿入されたC_xFの環元を同様に行ったところ,フッ素濃度の低い試料ほど環元ピークが低電位側に観察された。フッ化バナジウムの内で安定な化合物はVF_5,VF_3であり,VF_3の電気化学的環元では-1.3Vに環元ピークが観察された。3つの環元ピークはVF_5およびフッ素が同時または連続的に環元された結果と考えられる。 2.高フッ素濃度のフッ素-グラファイト層間化合物の合成 無水液体HFに酸化剤としてルイス酸を少量加え,天然黒鉛粉未を用いてフッ素-グラファイト層間化合物を合成した。得られた化合物はC_<2.0>F〜C_<2.4>Fであった。グラファイト格子の格子定数は2.467〜2.473A゚で元のグラファイトの値2.462A゚より大きく,またC軸方向の周期距離は10.7〜12A゚で大きな値をとっており,高フッ素濃度化合物においてもグラファイト層間にイオン性フッ素と共有性フッ素が交互に挿入された構造モデルが適用されることが明らかとなった。XPS測定から求められるC_<IS>電子の結合エネルギーは284.6eV,288.0eV,F_<IS>電子結合エネルギーは687.1eVであり,共有性のC-F結合の生成が認められた。またIRスペクトルにおいても1100cm^<-1>に強い吸収が現れ,共有性C-F結合の存在が確認された。酸化剤としてM_0F_6,SbF_5を用いたがM_0F_6の方が効果的であった。M_0F_6よりSbF_5の方がルイス酸として強いが,SbF_5の場合はHSbF_6のような錯体を作り易くグラファイトの酸化に有効でないためと考えられる。M_0F_6の添加量は5mmol/mol-グラファイトが最適で添加量が増加するとM_0F_6自身が挿入された層が形成される。また合成は8〜25℃で行ったが,湯度の低い方がM_0F_6の添加の効果が顕果が顕著に現れた。 3.グラファイト化合物の表面物性と電気化学的応用 フッ素-グラファイト化合物の表面性質はC-F結合の性質によって大きく変化することが明らかとなった。接触角測定から求められるフッ素-グラファイト層間化合物C_xFの表面自由エネルギーはグラファイトそのものの値と余り変わらないが,その極性成分はグラファイトより大きく液体に濡れ易い。これに対しC-F共有結合を有するフッ化黒鉛の表面自由エネルギー値はグラファイトより著しく小さく,その極性成分は無視できる。この結果を利用して共析メッキにより作製した揆水性ニッケル電極は有機化合物の電解フッ素化に極めて有用であることがわかった。 4.ヘテロ原子化合物の構造と電気化的挙動 Se(II),Te(II)を含むヘテロ原子化合物を合成し,その構造を明らかにた。更に電気化学測定よりSe^<2+>+2e<→/←>Se,Te^<2+>+2e<→/←>Teの酸化環元反応が起こることがわかった。
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