研究課題
まず、中国側研究者2名を招へいし、研究打合せおよびわが国の代表的な土石流対策砂防地域の実状の調査と資料の収集を行い、日、中の比較検討を行わせた。次いで、日本側3名が中国を訪問し、山地災害環境研究所において、前年度の成果の発展について打合せを行うとともに、長大水路を用いた粘性土石流実験を視察し、実験方法や今後の課題について討議した。また、成都の北方、甘粛省の蘭州付近までの地域にある代表的な土石流渓流の地形・地質調査を行い、各種の土石流の発生条件およびその対策の実際について研究した。さらに、日本側2名が前年度土石流観測に成功した東川観測所へ赴いた。本年度は土石流の発生に出合うことができなかったが、流路や堆積地形の詳細な地形測量を行って、前年度の観測結果の定量的分析の精度向上および1年間の地形変動の把握を行った。国内において、粘性土石流の流動則、可能石礫含有率に関する基礎研究を行い、理論の構築と実験による検証とを行った。今後、中国側の研究成果との比較検討を行い、現地土石流に適用して、その妥当性を検証するとともに、間歇的な波動的流動の成因等を究明する予定である。また、土石流対策工法の中で、底面水抜きスクリーンによる土石流扞止に着目し、わが国の実績を整理した。この工法に関しては、中国側も水路実験を行っているので、来年度データのつき合わせによる比較研究を行う予定である。土石流データベースによる比較研究に関しては、中国の250件の土石流資料を入手し、流域面積と流出土砂量の関係の日・中比較などを行いつつある。
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