研究課題/領域番号 |
03044086
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
稲葉 カヨ 京都大学, 理学部, 助教授 (00115792)
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研究分担者 |
NIKOLAUS Rom インスブルック大学, 理学部, 助教授
ANGELA Grane ロックフェラー大学, 細胞生理免疫学部門, 准教授
RALPH M Stei ロックフェラー大学, 細胞生理免疫学部門, 教授
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キーワード | 樹状細胞 / 細胞分化 / 骨髄細胞 / GM-CSF / T細胞活性化 / 末梢血白血球 / 前駆細胞 |
研究概要 |
樹状細胞は骨髄幹細胞に由来することが知られているが、その分化過程は明らかではない。本研究ではin vitro培養系で樹状細胞の増殖分化の誘導を試み、以下の結果を得た。 1)末梢血白血球や骨髄細胞よりリンパ球ならびにMHCクラスII抗原陽性の細胞を除去後、マクロファージ顆粒球増埴刺激因子(GM-CSF)を添加して培養することにより、凝集体を形成して増殖するマクロファージや顆粒球とは異なる細胞が出現した。この凝集体表面の細胞は針状の細胞突起を持っているが、培養を継続することにより徐々に遊離し、ヴェール細胞として浮遊するようになった。このような細胞の出現はGM-CSF添加時においてのみ見られ、M-CSF,G-CSF,IL-3などでは認められなかった。 2)培養によって誘導されたヴェール細胞は、これまで樹状細胞の特徴として記載される種々の性状を有していた。特に、MHCクラスII発現が強く、NLDC-145抗原の発現も認められた。さらに、最近樹立され、樹状細胞に特に多く発現されることが示されている細胞内顆粒特異的単クローン抗体による染色でも、時間の経過と共に発現量が増加することが示された。しかも、この増加は、異系白血球混合培養における刺激細胞活性の上昇と相関することも明らかになった。 3)In vitro培養によって誘導された樹状細胞は、足蹠に接種すると所属の膝窩リンパ節内T細胞依存性領域に集積することも示された。 4)GM-CSF添加メチルセルロースゲル内での骨髄細胞の培養により、樹状細胞はマクロ-ファージや顆粒球と同じコロニーに含まれることが明らかになった。この結果は、これら3種の細胞は同一の前駆細胞に由来することを示している。
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