日本と中国西南部の常緑広葉樹林構成植物の化学分類学的、細胞分類学的比較研究

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03044103
• 研究機関: 広島大学
• 研究代表者: 田中 治 広島大学, 医学部, 名誉教授 (30012595)
• 研究分担者: 聶 瑞麟 中国科学院, 昆明植物研究所, 講師 ; 夏 麗芳 中国科学院, 昆明植物研究所, 助教授 ; 楊 崇仁 中国科学院, 昆明植物研究所, 助教授 ; 顧 志建 中国科学院, 昆明植物研究所, 講師 ; 季 恒 中国科学院, 昆明植物研究所, 教授 ; 呉 征鑑 中国科学院, 昆明植物研究所, 教授 ; 日詰 雅博 愛媛大学, 教育学部, 助教授 (30116967) ; 谷口 研至 広島大学, 理学部, 講師 (10163627) ; 近藤 勝彦 広島大学, 理学部, 教授 (00110817) ; 大谷 和弘 広島大学, 医学部, 助手 (20203820) ; 笠井 良次 広島大学, 医学部, 助教授 (10034018) ; 山崎 和男 広島大学, 医学部, 教授 (00034017)
• キーワード: 中国雲南植物 / 常緑広葉樹林構成植物 / 化学分類学 / 細胞分類学 / 甘味成分 / 核形態学 / 蛍光バンド変異性 / 民俗学的用途

研究概要

田中グル-プは平成3年7月に3名で中国を訪問し、主として昆明植物研究所に滞在し、野外調査と研究打ち合せを行なった。野外においては、主として、未調査のウリ科およびバラ科物植およびマメ科の雲南甘草の分布並びに民俗学的用途を調査し、共同研究者とともに、研究材料を採集した。さらに、今後の研究の発展に関して討論し、ムラサキ科、クマツヅラ科なども研究対象にとりあげることで合意が成立した。研究所において、すでに進行中のクルミ科植物およびバラ科キイチゴ属(Rubus sp.)植物の甘味成分の化学的研究について主としてNMRを中心とする機器分析デ-タを詳細に検討した。更に、同年10月には共同研究者の楊崇仁、聶瑞麟博士が訪日して、成果の纏め方について相談し、雲南甘草とキイチゴ属の植物の新規化学成分についての共同研究の公表について合意した。
近藤グル-プは、10月に田中教之、10ー11月に日詰雅博を中国雲南省中国科学院昂明植物研究所へ派遣し、染色体研究用材料採集を行った。田中(教)は、雲南省蒼山と西山で、ユリ科物植Tofieldia、Aletris、Ophiopagon、Polygonafum、Disporum、Reineckia、Parisを採集し、地上部は標本にし、根端は前処理後固定し、すべて日本にもち帰り、核形態学的分析を行った。日詰は雲南省中甸でPicea brachytyla var、Complanata、Pinas yunnanensis、Pseudotsugaなどの種子を採集して、日本にもち帰った。研究室で種子を発芽させ、得た根端を使い蛍光分染法により染色体の特徴を分析した。核型に差異がみられないもののCMAバンドに変異がみられ置伝子浮動が考えられた。中国側共同研究者によりツバキ属植物の種子が採集され、昆明植物研究所内で発芽させて、染色体観察を進め、多くの核形態学的デ-タ-が集まり、今分析、日本で出版公表を始めている。

研究成果

• [文献書誌] Xiao,T.: "A karyomorphological study of ten species of Chinese Camellia" La Kromosomo. II-61. 2051-205, (1991)
• [文献書誌] Konda,K.: "A karyomorphological study of twelve species of Chinese Camellia" La Kromosomo. II-62. 2107-2114 (1991)
• [文献書誌] Hizume,M.: "Variation of fluorescent chromosome band in Picea brachytyla var.Complanata collected in Yunnan,China" La Kromosomo. II-63-64. 2149-2158 (1991)
• [文献書誌] Gu,Z.: "Karyotypes of eight species and one variety of Camellia from Hunan Province,China" La Kromosomo. II-65. (1992)
• [文献書誌] Zhou,X.: "Oleanane and ursane glucosides from several Rubus Plants of Yunnan,Southern China" Phytochemistry. (1992)
• [文献書誌] Ohtani,K.: "Oleanane glycosides from roots of Glycyrrhiza yunnanensis" Phytochemistry. (1992)