研究分担者 |
小野 真弓 大分医科大学, 医学部, 助手 (80128347)
河野 公俊 大分医科大学, 医学部, 助教授 (00153479)
DANLONGO ロンゴ 米国, 国立癌研究所・フレデリック支部, 所長
DAVID Schles 米国ワシントン大学, 医学部, 教授
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研究概要 |
ヒト癌細胞などでの多剤耐性の獲得に関与する膜P-糖蛋白はヒト多剤耐性MDR遺伝子によってコードされ,ヒト第7染色体長腕に,遺伝子ファミリーを形成している。我々は,MDR1の5'端の塩基配列よりプライマーを作成し,米国セントルイスのワシントン大学ゲノムセンターの酵母人工染色体(YAC)ライブラリーより,13個のクローンの分離を行った。今回,分離したYACクローンをBubble-PCR法で各クローンのYAC-endのクローニングを行い塩基配列を決定した。その塩基配列を基礎として,プライマーペアを設計した。このプライマーペアを用いて,ヒト,チャイニーズハムスター雑種細胞を用いて,ヒト第7染色体由来かどうかをPCR法で確認した。その結果,13個のクローンのうち,ヒトゲノムサイズが,200Kb以上の10クローンについてみた所,クローンについてはキメラクローンであった。そこで残りの4クローンのうちもっとも長いヒトゲノムをもつクローンのYAC-endのプライマーペアを用いて,ヒト第7染色体特異的なYACライブラリーのスクリーニングを行い,新たに1クローンを分離した。現在,キメラクローンでないYACクローンについて,物理地図の作成をすすめている。多剤耐性遺伝子の1つであるMDR1遺伝子には2つのプロモーター領域が存在するが,現在まで上流プロモーターに関しての研究が少なく,その位置も明らかではない。そこでこのYACクローンを用いて上流プロモーターの位置を明らかにし,塩基配列の解析をすすめている。下流プロモーターに関しては,プロモーターの構造の機能解析をほぼ終え,今後は,制御領域に結合する転写因子の解析へと進めつつある。その結果,癌の耐性診断の新しい貢献ができることを期待している。
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