研究課題
平成4年度はジュンガリア及び天山山脈東部の南北麓地域の東西交通路と主要遺跡を全面的に踏査する予定であったが、中国側研究者の友好的協力により、ほぼ予定通り各地域の調査を実施できた。昨年度に引続き、本年度の調査も新疆文化庁主催の下に、新疆文物考古研究所と沙漠研究所協力の下に実施された。現地における共同調査は、別表の如く1992年7月26日より8月24日まで30日間実施され、さらに荒川正晴は8月25日より9月4日まで新疆維吾尓自治区博物館において、吐魯番文書の研究に従事した。現地調査後、8月21・22日、ウルムチの考古研究所でシルクロード共同研究会を開催し、また9月8・9日には蘭州大学主催の国際絲綢之路学術討論会に長澤和俊と荒川正晴が参加し、日本のシルクロード研究の現状と本年度の調査結果を発表し、中国側研究者と友好を深め、双方の研究成果を討議した。本年度の主な成果は次の通り。(1) 新疆維吾尓自治区北疆の全面的踏査を実施したこと。昨年度実施した南疆調査を比較しつつ、北疆の重要性を再認識した。(2) 新疆北疆の各地において、従来未開放のため見学できなかった多数の遺跡を踏査したこと。たとえば伊寧の海努克古城、阿力麻里古城、磨河旧城、吐魯番〓子旧城、塔城の岩画、呼図壁岩画のほか、哈密白楊溝仏寺、拉布喬克古城、巴里坤の遺跡、北庭都護府故城、西大寺、吉木薩尓千仏洞等、多くの遺跡を実地踏査した。(3) 共同研究者王炳華氏(1992年12月2〜21日)、夏訓誠氏(1993年3月6〜24日)を招聘し、早稲田大学その他において講演、内外の研究者と交流、来年度の研究計画を討議し、多くの成果をあげた。(4) ウルムチの共同研究会、蘭州の国際絲綢之路学術討論会で中国側研究者と討議し、今後日中共同で積極的にシルクロードの調査を推進することに合意した。
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