研究分担者 |
J.MADSEN CERN, PS, 主研
I. WILSON CERN, SL, 主研
W. SCHNELL CERN, CLIC, 主幹
K. HUBNER CERN, PS, 主幹
新竹 積 高エネルギー物理学研究所, 加速器研究部, 助手 (90162792)
肥後 寿泰 高エネルギー物理学研究所, 加速器研究部, 助手 (10156581)
水野 元 高エネルギー物理学研究所, 加速器研究部, 助教授 (80044775)
竹田 誠之 高エネルギー物理学研究所, 加速器研究部, 助教授 (40029898)
木村 嘉孝 高エネルギー物理学研究所, 加速器研究部, 教授 (00010794)
MADSEN J. CERN
WILSON I. CERN
SCHNELL W. CERN
HUEBNER K. CERN
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研究概要 |
リニアコライダーの主要部である主リニアックの加速管について,その高電界動作特性の理論的,実験的研究を行なった。この加速管はXバンド(11.4GHz)の高周波で動作する進行型のもので,加速電界として100MV/mを目標とする。本年度は,高電界動作に対応出来る様な極めて表面仕上精度の高い試作管を無酸素銅で製作した。これを高エルネギー物理学研究所で開発した30MWクライストロンで高周波印加を行ない,約500時間のコンディショニングでほぼ目標値の高電界を達成することが出来た。また同時に高電界により引出される暗電流についても精密な測定を行なった。 高電界を達成するためには,十分な高言波電力を発生するクライストロンの存在が不可欠である。しかし大電力クライストロンは,周波数が高くなるにつれてその製作技術が飛躍待にむつかしくなる。従っていままでの高電界試験は大電力クライストロンの入手が容易なSバンド(2.86GHz)で行われて来た。そしてこの周波数では80MV/m以上の平均加速電界の達成に成功し,ビーム加速も行っている。しかしTeVエネルギーのリニアコライダーを作るためには,総電力の制限から高周波の周波数は出来るだけ高くしなければならない。高エネルギー物理学研究所においては,早くからXバンド(11.4GHz)のクライストロンの開発をすすめていた。そしてその第1号機である30MW級のXB50Kと呼ばれる球の開発に成功した。本実験はこれを用いて行われたものである。 さて,共同研究の相手であるCERNではリニアコライダー用の大電力高周波源として更に高いKバンド(30GHz)を考えている。しかしその実現はかなり先の将来にある。一方,加速管については,高電界の発生に必要な精密な加工技術を確立しているので,CERNとしては高電界発生の実験的研究を早く実現することを望んでいた。従って,周波数は3倍まだ隔たっているが,実用的なクライストロンをもっている高エネルギー物理学研究所との共同研究になった訳である。 この実験においては,高エネルギー物理学研究所とCERNとで全く同じ寸法の加速度を制作しテストした。その仕様は次の様である。セル数20,カプラーセル各1,セルの長さは2.9mmのセル当りの位相進みが2T/3の標準的な一定インピーダンス型加速管である。ビーム口径は6mm,セル直径10.4mm,ディスクの厚みは1mmである。Q値は6500,減衰定数1.54m^<-1>,インピーダンスは104MΩ/mとなっている。また,ビーム口上 でもっとも電界が高くなるが,その平均電界に対する比は3.9である。加工上最も注意を払うところはこの電界が最も高くなるビーム口附近である。厚み1mm,ディスクに0.5mmの半径の丸みをもたせる。しかも口径の直径である6mmの寸法は全体で21コのビーム口について1ミクロン以内の精度に加工することが,電波の反射を抑えるうえで必要である。これらの性能,仕掛を実現するために,注意深くよりすぐったダイアモンドバイトで入念な加工を行なった。また加工工程では金属や有機物の微粒子の混入を極力防止した。これは,高電界テストにおいて,大きな放電をつくる種となり,精密に加工された加速管表面を傷つけ,高電界の達成をしばしば不可能にするからである。 テストは,クライストロンを50PPSで運転して行なった。マイクロ波のパルス長はほぼ100nsであった。高エネルギー物理学研究所製の加速管では印加パルスの数にして,約6千万回で平均加速電界が70MV/mまで上昇した。CERN製の加速管については,9百万回で丁度100MV/mが達成出来た。とくにクライストロンの出力をブーストするために,SLEDシステムと呼ばれる高周波パルス圧縮器を開発していたが,CERN製加速管のテストでは,それも併用し,高電界を達成することが出来た。 暗電流は,変形されたファウラーノルドハイムの公式によって測定値が整理された。そこでは電界増大係数βが大事な目安となるが両者とも50前後の似た値を示している。値し高エネルギー物理学研究所製の加速管については,電流の絶対値を逓減させることが,今後の課題として明らかになった。
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