北極海ポリニア域における生物生産過程の研究

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03044146
• 研究機関: 国立極地研究所
• 研究代表者: 星合 孝男 国立極地研究所, 所長 (60000155)
• 研究分担者: 山口 征矢 埼玉大学, 教養部, 教授 (70114220) ; 田口 哲 北海道区水産研究所, 海洋環境部, 室長 ; 川口 弘一 東京大学, 海洋研究所・大槌臨海研究センター, 教授 (40013586) ; 松田 治 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (60034469) ; ALEXANDER Ve アラスカ大学, 海洋研究所, 所長 ; MCROY Peter アラスカ大学, 海洋研究所, 教授 ; LEGENDRE Lou ラバル大学, 生物学部, 教授 ; DEMERS Serge モーリス, ラモンテーニュ研究所・生物環境部, 研究員 ; 佐藤 博雄 東京水産大学, 助手 (60114914) ; 工藤 栄 国立極地研究所, 北極センター, 助手 (40221931) ; 白沢 邦男 北海道大学, 低温研, 助教授 (50196622) ; 小野 延雄 国立極地研究所, 北極センター, 教授 (40001648) ; 渡辺 研太郎 国立極地研究所, 研究系, 助手 (30132715) ; 服部 寛 北海道東海大学, 工学部, 講師 (60208543) ; 谷村 篤 国立極地研究所, 研究系, 助手 (10125213) ; 佐々木 洋 石巻専修大学, 工学部, 講師 (10183378) ; 福地 光男 国立極地研究所, 研究系, 教授 (80099936) ; 西山 恒夫 北海道東海大学, 工学部, 教授 (70001609) ; 綿貫 豊 国立極地研究所, 研究系, 助手 (40192819) ; 内藤 靖彦 国立極地研究所, 研究系, 教授 (80017087)
• キーワード: 一次生産 / 海氷 / サロマ湖 / アイスアルジ- / 二次生産者 / 低温生理活性 / 沈降粒子 / 光環境

研究概要

1992年2月から3月に、サロマ湖においてカナダと日本の研究共同野外調査を実施した。この調査にはカナダ側が17人・日本人側(大学院生,学生を含む)が延べ20人以上参加し、季節海氷上・下の環境と生態系内での炭素循環、一次生産者の生理学的性質に焦点を当てた研究を行った。サロマ湖東岸の栄浦の沖合い2km(水深約10m)に野外観測拠点をもうけ、気象観測、物理環境観測を連続的に測定した。この物理環境調査点の周辺ではアイスアルジ-等の一次生産者に焦点を当てた研究の為の調査領域、これら一次生産者とその消費者である動物プランクトンや微小従属栄養生物の研究の為の調査領域、一次生産者が海氷下で生産した物質の鉛直輸送に関する研究の為の領域を、それぞれ設けて観測、試料採取、実験を行った。アイスアルジ-生物量やその種類組成の時間的変化、は3日おきに氷を柱状採取しその下層3cmを切断し溶解して分析に用いた。また、これら一次生産者が光環境の向上してくる2月から3月に氷の下部で生物量が大きくなるのに着目し、実験的に海氷上部の積雪を100m^2にわたって取り除き、光環境応答性を調べ、生物量増加と光環境変化の関係を調べた。さらに、採取試料を実験室に持ち帰り、これらアイスアルジ-の光合成の生理特性を検討した。また湖、でのアイスアルジ-水平分布と氷下の光環境との関係を岸から沖合いに向けて4kmの観測線を設けて調べた。
従属栄養生物の調査では、採取した試料中の微生物の活性を培養実験と酵素活性の測定の2方法で検討した。動物プランクトンは、延べ4回にわたる昼夜連続採集を実施し、鉛直移動性を捉え、また、現場での捕食活性を消化管内容物量と培養実験で推定を行った。これら従属栄養生物に捕食され、海底へ沈降輸送される有機物量等は現場にセジメントトラップを吊り下げて捕集して、現場での沈隆量を測定し、さらに実験室内で、これら物質の沈降速度を求めた。

研究成果

• [文献書誌] Suzuki,Y.and M.Takahashi: "Ecological importance of photosynthetic acclimation to temperature for the determination of temporal occurrence of two temperate freshwater diatom species." IXth International Congress on Photosynthesis August 30 -September 5. (1992)
• [文献書誌] Kudoh,S.and T.Nishiyama: "Size distribution and specific growth rates of planktonic algae in the water column of St.Lawrence Island Polynya area (Northern Bering Sea) in Summer,1991."
• [文献書誌] Shirasawa,K.and M.Aota: "Atmospheric boundary layer measurements over sea ice in the Sea of Okhotsk." Journal of Marine Systems. 2. 63-79 (1991)
• [文献書誌] L.Legendre,M.Aota,K.Shirasawa,M.-J.Martineau,and M.Ishikawa: "Crystallographic structure of sea ice along a saliniy gradient and e(environmental control of microalgae in the brine cells." Journal of Marine Systems. 2. 347-357 (1991)
• [文献書誌] Saito,H.,T.Ogishima,and S.Taguchi: "Gut clearance rate of boreal copepods Eurytemora haedmani Thompson and Scott (1897) and Pseudocalanus spp.at different food concentration." Bulletin of Plankton Society of Japan. 563-572 (1991)
• [文献書誌] Taguchi,S.: "Usage of Water system of aquaculture for a long-term study on phytoplankton in a boreal sea in Hokkaido,Japan." Proceedings of National Institute of Polar Research,Polar Biology. 5. (1992)