研究分担者 |
廿日出 勇 宮崎大学, 工学部, 助手 (30221500)
高岸 邦夫 宮崎大学, 工学部, 助教授 (80041060)
北本 俊二 大阪大学, 理学部, 助手 (70177872)
常深 博 大阪大学, 理学部, 助教授 (90116062)
河野 毅 理化学研究所, 宇宙放射線研究室, 先任研究員 (60211231)
今井 喬 理化学研究所, 宇宙放射線研究室, 先任技師
山内 誠 理化学研究所, 宇宙放射線研究室, 基礎科学特別研究員
吉田 篤正 理化学研究所, 宇宙放射線研究室, 研究員 (80240274)
河合 誠之 理化学研究所, 宇宙放射線研究室, 研究員 (80195031)
FENIMORE Edw ロスアラモス国立研究所, 主任研究員
RICKER Georg マサチュセッツ工科大学, 主任研究員
FENIMORE Wdward E. Los Alamos National Laboratory, U.S.A.
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研究概要 |
高エネルギー・トランジェント天体の研究のため日・米・仏・伊の国際共同研究を行ってきた。このため共同で小型の衛星を製作しX線,紫外線,ガンマ線で同時にトランジェント天体を観測する。日本の担当はX線観測装置を製作することであるが,紫外線観測装置(米国),ガンマ線観測装置(フランス)及び衛星全体のシステムと調整するため,米国で4回,日本で2回の会合をもった。会議の目的と成果は大きく分けて次の3つである。 (1)高エネルギー・トランジェント天体の研究の現状の把握と共同研究で開発している衛星に反影させる。 高エネルギー・トランジェント天体として最重要なものはガンマ線バーストである。このガンマ線バーストの空間分布,エネルギースペクトルを調整しこれからの衛星計画の観測精度,感度,ソフトウェア開発について討議した。この結果を現在進行中の共同開発の衛星に反影させた。 (2)共同開発中の衛星に関するソフトウェアについて討議する。 ソフトウェアは,衛星に搭載するソフトウェアとデータ受信した後に処理するソフトウェアである。これらを科学的成果が最大に引き出せるアルゴリズムを討議した。 (3)各国が担当した衛星搭載装置のインターフェースを確認するための試験を行う。 日・米・仏の各国が開発した衛星搭載装置を米国に持ちより,機械的及び電気的なインターフェース試験を行った。図面上で製作した装置は大きな間違いなく合わせることができた。 本研究費の補助のためスムーズにすすめられたハードウェアの研究成果を以下に記す。 (1)搭載用の回路の製作後,パルサーを使った試験を行い,16系統の信号処理回路について詳細なデータを取得した。更に,回路の温度試験は衛星環境の条件に從い遂行した。 (2)搭載する位置検知型X線検出器の製作を行い,予備器も含め試験用X線ビームを使って詳細な試験を行った。この試験は搭載用の回路をとおし行った。この結果エネルギー分解能,位置分解能ともに初期の目的を達成できた。ただし,検出器の信頼性については引き続き試験し,スペア検出器の用意をすることとした。 (3) HETE衛星のための日本側担当機器,X線観測装置の搭載機器を米国に持ち込み衛星全体の組み上げ試験を行った。電気的、機械的なインターフェースは若干の手直しを除き無事終えることができた。インターフェースのチェックは日・米・仏の協力で行った。 (4)上記のような搭載機器の個々の試験は平成4年12月までにほぼ終え平成5年1-3月まではX線観測装置全体を組み上げ1気圧中での熱サイクル試験,振動・衝撃試験,熱真空試験を行っている。若干の手直しを行って3月末には完成する予定である。 (5)宮崎大学での衛星データ受信のための基礎工事を行った。また,米国とのインターネットワークの試験を行っている。 (6)トランジェント天体に関する国内外の権威者によるワークショップを米国とわが国で行った。ガンマ線バーストの起源の謎は深まるばかりである。一方国内の共同研究者とは,本研究に関連したシンポジウムを開催してガンマ線バーストの現状の把握とガンマ線バースト発生のモデルを討議した。シンポジウムは,(1)ガンマ線バーストの観測と理論,(2)軟ガンマ線バースト源の「あすか」衛星による観測結果,(3)ガンマ線バーストの空間分布の宇宙論的意義,(4)ガンマ線バーストのモデル,(5)暗黒物質とガンマ線バースト将来計画,などについて討議し,本研究計画に有効に反影させることができた。
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