研究分担者 |
JAMES B.W. Univ.of Sydney, School of Physics, Senior Lec
BRAND G.F. Univ.of Sydney, School of Physics, Senior Lec
BRENNAN M.H. Univ.of Sydney, School of Physics, Prof.
CROSS R.C. Univ.of Sydney, School of Physics, Assoc.Prof
目片 守 福井大学, 工学部, 教授 (80025345)
小川 勇 福井大学, 工学部, 助教授 (90214014)
立川 敏明 福井大学, 工学部, 助教授 (00020206)
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研究概要 |
1)サイクロトロン2次及び3次高調波動作を用いたジャイロトロンの超高周波化 福井大学とシドニー大学の双方で,各々のグループで有する12T超伝導マグネットを用いて,ジャイロトロンの超高周波化の研究を行った。福井大学では,Demountable型ジャイロトロン(GYROTRON FU III)を設計・試作し,サイクロトロン2次及び3次高調波動作を用いた研究を行なった。2次高調波動作で,最高周波数636GHz(波長472μm)まで,3次高調波動作で最高周波数444GHz(波長676μm)まで周波数可変のジャイロトロンが実現した。このジャイロトロンは,モード競合を抑制するため空洞共振器の半径を小さくしてあるので,上記の2次及び3次高調波動作は,単独動作が可能でその出力を直ちに光源として用いることができる。出力電力は,いずれも100〜700Wであり,ジャイロトロンとしては中出力であるが,プラズマ計測及び物性研究のための光源としては十分の出力である。 一方,シドニー大学では,福井大学で開発した高調波ジャイロトロンの原理を導入して,高周波化の研究を行い,サイクロトロン基本波と2次高調波における動作を併用して,周波数範囲150〜615GHzを覆うジャイロトロンを実現した。出力は,10mW〜20Wであり,ジャイロトロンとしては小出力であるが,連続動作が可能であり,周波数及び出力電力の安定性に優れたジャイロトロンである。 2)ジャイロトロンの長パルス動作 サブミリ波ジャイロトロンをプラズマ散乱計測の光源として用いるためには,連続動作または長パルス動作の達成が必要である。福井大学のGYROTRON FU IIを用いて,2次高調波動作による352GHz(TE_<161>モード)での発振を0.6secにわたって継続することに成功した。出力電力150Wが得られ,この出力を核融合科学研究所のヘリカル装置CHSのサブミリ波散乱計測のために用いている。 3)サブミリ波ジャイロトロンの振幅変調及び周波数変調 ジャイロトロン出力の振幅変調及び周波数変調は,ジャイロトロンを広範囲の研究のために,光源として用いる際に重要である。福井大学では,シドニー大学との共同研究として電子銃の陽極変調による出力の振幅変調と陰極変調による周波数変調の研究を行った。 4)基本波動作と高調波動作のモード競合及びモード協力の研究 ジャイロトロンの高周波化のためには,高調波動作を用いることによる磁場の軽減が不可欠であり,また,基本波動作との競合を避けて高調波動作のよる出力を純粋に取り出す必要がある。このため,シミュレーションによって基本波動作との競合を調べ,高調波動作が単独で起きる条件を見いだし,実験を行うことによって,2次及び3次高調波での単独発振を達成した。 また,2次高調波動作が基本波動作をトリガーすることにより,基本波動作の開始ビームを低下させ,ビームエネルギーを高効率で引き出して,電磁波エネルギーに変換する機構があることを見いだし,実験的にも証明することができた。この現象は,一種のモード協力であり,ジャイロトロンの高効率動作を可能にする。 5)ジャイロトロン出力を光源とするプラズマ散乱計測 開発したミリ波ジャイロトロンを光源とするプラズマ散乱計測装置を試作し,シドニー大学のトカマク装置TORTUSのアルフェン波加熱時の入射波の検出に成功した。また,福井大学のGYROTRON IIを光源とするサブミリ波散乱計測装置を製作し,核融合科学研究所のCHS装置に設置して,プラズマ中に自然励起されるドリフト波の測定を行い,その検出に成功した。ドリフト波はプラズマ閉じ込めに悪影響を与える波動であるので,その制御が必要であり,本測定はそのための情報をえるために必要である。
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