研究課題
[目的]中国における地域発生頻度の高いBuddーChiari症候群の疫学調査のアンケ-ト作成および経皮的血管形成術Percutaneous transluminal angioplaslty(PTA)を中国医科大学と協同で実施することが本年度の目的である。すなわち、BuddーChiari症候群の患者はすでにPTAを施行した22例のBalloon angioplasty(BA)の治療効果を追跡し、BAの有用性を明らかにすること、並びにMetallic stent(MS)の留置の適応を考察することである。[対象および方法]BuddーChiari症候群22例を対象(下大静脈20例、肝静脈3例、双方1例)に経静脈性に閉鎖症例にはブロッケンブロ-針による穿通術後BAを施行、下大静脈部型分類では膜様狭窄7例、膜様閉塞10例、区域性狭窄2例、区域性閉塞3例であった。PTA後2年以上の観察例13例、3ヶ月〜1年6ヶ月の観察例は8例であった。1991年8月には膜性閉塞に下大静脈血栓併存例に対して、日中協同でMSを留置した。[結果]1.治療効果は、著効19例、有効2例、無効なしであった。2.再発は2例のみであった。3.MSはPTA後に起こり得る血栓の逸脱による肺血栓症の防止と、PTA後の下大静脈腔の維持に有用と思われた。[結論]1.PTAは安全で容易であり、第一選択とすべき治療法である。再発例にもPTAは再施行可能である。2.MSの留置は長期に亘る(例えば10年以上)ステント留置の安全性がまだ確認されていないこと、再発例は少ないことから慎重に適応を決める必要がある。少なくとも、肺塞栓症防止には有用であった。
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