研究課題
[目的]昨年度に引続き中国に多発するBudd-Chiari症候群(BCS)のアンケートによる疫学調査と経皮的血管形成術percutaneous transluminal angio-plasty(PTA)を中国医科大学と国際協力研究することが目的である。[対象および方法]中国医科大学および関連の病院を受診したBCS患者にアンケート調査を行う。1988年12月から1992年6月までにPTAにより治療したBCS25例は、年齢20〜56歳(平均36歳)、男19例、女6例、肝部下大静脈の膜様狭窄(MS)8例、膜様閉塞11例、区域性狭窄(SS)2例、区域性閉塞(SO)4例である。PTAはすべてBalloon angioplastyによって行い、MSの2例に金属ステント留置術を施行した。観察期間は10〜41月(平均27.6月)である。[結果]DICで死亡した1例を除き、24例に好成績が得られた。4例(MS3例、SS1例)に再狭窄がみられたが、2回目のPTAで改善した。金属ステントを留置した1例は1年後の再検査で、術前存在した血栓は吸収され、完全に下大静脈の狭窄は消失し、症状は他の1例ともよく改善されている。[結論]アンケート調査は現在集計、解析中であり、まだ結論は得られていない。BCSに対しPTAは第1選択の治療方法である。再発例にも再施行可能である。金属ステント留置術は血栓の逸脱による肺血栓症の防止およびPTA後の下大静脈腔の維持に有用であった。長期の治療効果の判定は今後も続行すべきである。
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