研究概要 |
L-ビオプテリンの直接グリコシル化はD-リボースおよびD-グルコースのC-1活性糖基質を用いた場合,収率が10%程度にしかならないことが判明した。一方,ビオプテリンをジメチルホルムアミドジエチルアセタールを作用させ,次いでピリジン中無水酢酸で処理すること,N^2-(N,N-ジメチルアミノ)メチレン-1',2'-ジ-0-アセチルビオプテリンが75%の収率で得られた。これをP-ニトロフェニルエタノールを用いて光延反応を行うと,0^4(2-P-ニトロフェニルエチル)誘導体が得られ,これをメタノールと50°Cに加熱すると1',2'位の脱アセチルがおこり,N^2,O^4-位の保護されたL-ビオプテリンが得られた。この化合物は塩化メチレンなどの無極性溶煤に可溶であるので,側鎖の1',2'-位の水酸基にさまざまな反応を行うことが可能である。グリコシル化反応のモデル基質として1-0-アセチル-2,3,5-トリ-0-ベンゾイル-β-D-リボフラノースを用いて上記ビオプテリンをHMDSAで1',2'-ジ-0-トリメチルシリル化合物に変換の後四塩化スズ存在下反応を行うと,2'-0-および1',2'-0-ジ-リボフラノシル誘導体が生成し,その収率と割合は同いる糖基質の当量数によることが判明した。これらのモノおよびジ-D-リボフラノシドをDMF中DBUで処理するとO^4-NPE基のみ選択的に脱保護され,ピリジン中ではO^2-DMAM基も脱保護される。次いでメタノール中ナトリウムメトキシドを作用させるとリボースの脱ベンゾイル化が起り,2'-0-および1',2'-ジ-0-(β-D-リボフラノシル)ビオプテリンが得られる。同様なグリコシル化はD-グルコピラノースを用いても進行することが予備実験の段階ではあるが判明した。各段階の収率向上について現在さらに検討中である。
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