研究課題
平成3年度の研究は、「交付申請書」に記載した調査研究実施計画に即して実施されたが、まず日本班の調査研究項目について言えば、極めて順調に進展し、予想以上の成果が得られた。以下、成果を摘記する。1、日清戦争後の日本政府の対華政策と訪日中国留学生の量的推移と進路の把握、及び問題点の解明2、留学生予備教育の実施過程と教育内容の検討3、対華文化事業の内容分析4、日本留学体験者の事跡調査、留学体験の整理(上海・北京・福州・南昌・等でのインタビュ-の実施)とくに、最重点項目であった現地調査によるインタビュ-の実施は、研究協力者の多大な努力と中国側研究分担者の十分な事前調査資料によって、上海・北京・福州等で計20名に及ぶ聞き取り調査が可能であったばかりか、予定外の南昌・天津等においても新たに対象者を発見、調査資料・情報の収集と共に、調査対象範囲を拡げることが出来た。この調査から得た新たな知見は、戦前期の日本留学体験者が、帰国後、一般に“反日"或いは“抗日"であったとの従来の定説とは異なった理解を得たことであり、実地調査を経ない文献・資料のみの研究がいかに恣意的かつ一面的であるかを認識させられたことであった。次に中国班の実績について言えば、資料の探索・収集・整理、とくに未公開資料(档案)の収集・整理・分析が進行しており、平成3年12月に訪日した2名の招へい者はその一部を持参し、日本班との共同討議の主要な資料とした。なお、上記招へい者は滞日期間中、精力的に資料収集に当たり、日本班とは3回にわたって協議・合同研究会を実施した。
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