研究課題
初年度の調査は計画に従い、9月に釜山特別市と麗水市を中心に、12月には長崎県下で行なった。得られた結果は以下の通りである。1.両国各地の漁獲量、漁業及び養殖の資料を得た。韓国水産庁漁獲統計の「フグ」の魚種区分を行い、資源解析を目指したが、今回は韓国側の希望により、資源解析よりは両国のフグ類の種の異同、同一資源の系統群解析に力点を置くことにした。2.韓国の魚市場に出荷されていた魚種はトラフグ、カラス、マフグシマフグ、ナシフグ、コモンフグ、ヒガンフグ、サンサイフグ、シロサバフグ、クロサバフグ、ホシフグ、その他で、計12種以上が認められた。3.長崎県下の魚市場で確認された種類は、トラフグ、カラス、シマフグ、ヒガンフグ、コモンフグ、ナシフグ、クサフグ、ゴマフグ、ヨリトフグ、シロサバフグ、クロサバフグ、カナフグ、ハリセンボン、ホシフグ(非食用)等の14種以上であった。4.韓国においては日本では食用とされないホシフグが大量に出荷され、5年程前から消費されているという。又、外国産シロサバフグ類似種が多量に見られ、トラフグ養殖も盛んで、フグ食の隆盛が窺われた。5.韓国南部のトラフグ産卵場は消滅したと見られていたが、今回の調査で僅かながら存在していることが確認された。6.佐世保魚市場においてはこの他にシマフグ×ナシフグの交雑種と見られるフグが採集され、自然交雑種の多いことが推測された。なお、この他に採集したフグ類については、目下鋭意魚体測定及びアイソザイムによる解析を行っている。
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