環境保全型発展の経済性

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03101001
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 植田 和弘 京都大学, 経済学部, 教授 (20144397)
• 研究分担者: 森田 恒幸 国立環境研究所, 地球環境グループ, 総合研究官 (80101054) ; 仲上 健一 立命館大学, 政策科学部, 教授 (10109077) ; 佐和 隆光 経済研究所, 教授 (80012128)
• キーワード: 環境資源勘定 / 環境税 / 課微金 / 省エネルギー / 経済的手段 / 産業連関表 / 地球温暖化 / 動学的最適化

研究概要

(1)市場活用型環境政策手段の利害得失について直接規制との比較において検討を加えた。ドイツ排水課徴金制度など実際に導入されている経済的手段について調査・分析した結果、実際には理論とは乖離しているケースが多いことが明らかになった。その原因を考察し次の2つのことが明らかになった。 1つは、すでに環境政策において直接規制が多くの分野で導入されており、それを与件とした上で経済的手段を導入したケースが多いため、実質的には直接規制の代替的手段でなくポリシ-・ミックスとなったということである。もう1つは、経済的手段、特に環境税は、被課税者にとっての負担感が大きいため、分配問題が重要な要因になっているということである。
(2)流域管理の対象圏域としての都市における開発プロジェクトの環境影響に関する評価システムを構築するために、環境・経済・心理を軸としたアンケート調査(7件)を実施した。発展途上国の都市化・工業化に伴う環境影響と都市環境改善事業の実態(インドネシア・タイ・フィリピン・ベトナム)を調査し、都市環境監査制度の検討を行った。流域圏システムの安全要素の導入のために、災害(阪神大震災・雲仙普賢岳)および潟水(琵琶湖・淀川、松山市・福岡市)の実態調査を行った。
(3)環境資源勘定体系の効果とその基礎的な設定条件を明らかにするため環境保全と経済成長との相互関係を分析することができる動学的最適化モデルおよびフレームワークモデルを開発した。さらに、これらのモデルを日本、中国および韓国に適して、環境政策の発展および環境投資の経緯と展望を実証分析との対比によって明らかにし、大気汚染問題を中心にしてこの地域か持続可能な発展を遂げるための基本方針のあり方を検討した。

研究成果

• [文献書誌] Ueta,K: "On the Role OF Local Government in Urban Environmental Management" Regional Development Dialogue. 15巻 NO.2. 146-154 (1994)
• [文献書誌] 佐和隆光: "環境コストと経済とは両立可能か?" フォーブス日本版地球環境特集(2). 120-122 (1994)
• [文献書誌] 佐和隆光: "日本社会の‘成熟化'が鍵規制暖和と環境保全" 産業と環境. (2月号). 42-46 (1995)
• [文献書誌] 仲上健一: "Costal Zone and Environmental Policy" 政策科学(立命館大学政策科学会誌). 弟2号. 111-125 (1994)
• [文献書誌] 森田恒幸: "環境政策への経済の影響" 環境情報科学. 23巻 NO.4. 20-27 (1994)
• [文献書誌] 仲上健一: "環境創造と都市政策に関する研究" 立命館大学けいはんなセンターワーキングレポート. 1. 1-34 (1994)
• [文献書誌] 仲上健一: "環境創造と都市戦略" 日本計画行政学会関西支部1994年度年報. 3-6 (1995)
• [文献書誌] 植田和弘: "地球環境キーワード 環境経済学で読み解く" 有斐閣, 243 (1994)
• [文献書誌] 植田和弘: "包装環境便覧" サイエンス.フォーラム社, 296 (1994)
• [文献書誌] 植田和弘: "リサイクル社会への途" 自治体研究社, 62 (1994)
• [文献書誌] 佐和隆光: "ポスト産業社会への提言" 岩波書店, 62 (1994)
• [文献書誌] 仲上健一: "環境創造と都市戦略" 法律文化社, 158 (1994)
• [文献書誌] 仲上健一: "高度浄水処理と安全な水" 自治体研究者, 134 (1994)
• [文献書誌] 森田恒幸: "地球環境50の仮説" 東海大学出版会, 220 (1995)
• [文献書誌] 森田恒幸: "環境資源勘定と発展途上国" アジア経済研究所, 167 (1995)