研究課題/領域番号 |
03101002
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
戸塚 洋二 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (40011712)
|
研究分担者 |
中畑 雅行 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (70192672)
鈴木 厚人 東北大学, 理学部, 教授 (00100818)
宮野 和政 新潟大学, 理学部, 教授 (10011529)
西川 公一郎 東京大学, 原子核研究所, 助教授 (60198439)
梶田 隆章 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (40185773)
|
キーワード | 大気ニュートリノ / ニュートリノ振動 / ミューニュートリノ / 電子ニュートリノ / タウニュートリノ / タウニュートリノ質量 |
研究概要 |
本年度は、大気ニュートリノ中のミューニュートリノ欠損を確かめるビーム実験の最後のデータ収集を行った。データは順調に取得され成功のうちに実験は終了した。引き続いてビーム実験のデータ解析を行った。解析の結果、電子とミュー粒子の識別能力は約98%であった。これは今まで計算機シミュレーションにより予想していた値と一致し、大気ニュートリノ中のミューニュートリノ欠損が粒子識別等の解析の間違いではなく、ニュートリノ振動等の物理現象であることが判明した。 一方、カミオカンデでの大気ニュートリノのデータ収集は順調に行われた。全データ量は予定通り本特別推進研究を始めたときの約2倍になった。IGeV領域で電子ニュートリノを基準としてミューニュートリノの反応数を理論値と比べると、測定値は理論値のO.60±0.055(統計誤差)士0.05(系統誤差)となり、ミューニュートリノ欠損の統計的有為さは当初の目標通り約5シグマとなった。 本年度はさらに数GeV領域の大気ニュートリノデータの解析も行い、このエネルギー領域でもミューニュートリノ欠損が存在することを確認した。またこのエネルギー領域の大気ニュートリノデータの天頂角分布は上下非対象であることを発見し、これはニュートリノ振動を仮定すればうまく説明できることを確認した。 以上の実験及び観測により、大気ニュートリノデータを説明するためにはニュートリノ振動を考える必要があるという結論に達した。このとき、ミューまたはタウニュートリノの質量は、0.leV程度を仮定した場合に最もうまくデータを再現する。
|